見出し画像

詩「息継ぎ」


遥か遠く
あなたの背中は見えない
私は 荒い息継ぎを繰り返す

急激な水飛沫をあげ
あなたはイルカに還った
振り返る事もせずに

私は まだ幼くて
息継ぎさえ 拙い
不器用な呼吸の所為で 頭に鈍い痛みが走る
あなたは私の中で いつまでも遠いのです

私の手があなたの背中に届いた瞬間とき
空が変わらず青く見えます様に…

水を掻きながら
呼吸を繰り返した
水飛沫をあげ
私は泳いだ
滅茶苦茶な格好で
(空を覆う入道雲が風に吹かれて笑う。)
魚にもなれずに
水に溶け合う事すらできずに…

あの夏は
水を掻いた波紋が広がっていく様に
あなたが私の全てだった

いいなと思ったら応援しよう!