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【3分でビジネス書】感謝される仕事、感謝できる仕事<寄稿・前田康二郎>

前田康二郎です。

今回は「クロスメディアン」で初の著者コラムを始めるとのことでご依頼をいただきましたので、「仕事選び」をテーマに綴ってみたいと思います。

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「自分らしいはたらき方や生き方をしたい」と言う人に「たとえばどのような仕事がしたいのですか」と尋ねると、「人から感謝されるような仕事をしたい」という答えが返ってくることが増えた気がします。

「デザインをやりたい」「マーケティングをやりたい」という具体的な仕事の内容ではなく、「人から感謝される仕事をやりたい」というのは、そこにはやさしい世界が広がっているようで、気持ちはわかります。

ただ、別の側面からみると、そのような人は常に相手から「感謝」という見返りに期待してはたらいているようにも思えて、たとえば自分の期待通りの感謝が相手からなかった場合に、少し怖い気もするのです。

以前、旅行の添乗員さんから教えていただいたエピソードがあります。

20人ほどの海外ツアーで、ほとんどのお客さんたちは添乗員さんの指示通りに行動してくれたそうですが、一組のご夫婦だけ集合時間に遅刻してきたり、無理難題なお願いをいくつも添乗員さんにしてきたりして、対応が大変だったそうです。

ツアーが無事終了して、お客さんたちのアンケートを回収したところ、ほとんどの人が「添乗員さんもとても親切で楽しかったです」と回答している中、集団行動を乱し続けたご夫婦だけは「気の利かない添乗員で、楽しいはずの旅行が楽しめなかった」とクレームが書いてあったとのこと。でもそれは「添乗員あるある」で、よくあることなんですよ、と教えてくれました。

添乗員の仕事は基本的には「感謝される」類の仕事だと思います。でもこのエピソードのように、全員が感謝してくれるわけではありません。そのときに、もし「感謝される仕事だから」という理由だけで添乗員になってしまったら、「さんざん旅行中に面倒を見てやったのに、あの夫婦め!」と、お世話をした相手が自分に感謝しなかったことに対して腹を立て、取り乱してしまうかもしれません。

そう考えると、もし「自分らしいはたらき方をしたい、自分らしい仕事を見つけたい」のであれば、「他者から感謝をされる仕事」もいいのですが「自分が感謝できる仕事」を選んだり探したりしてみてもいいのではないでしょうか。

それならば、たとえ自分が誠意をもって対応した仕事が相手から感謝をされなくても、「私はこの仕事をやれること自体が楽しいし感謝をしているから、相手から感謝をされなくても全く問題ないです」と、平常心で、自分らしく心穏やかにはたらくことができると思うのです。

エピソードを教えてくれた添乗員さんに、「私だったら、お世話をしたご夫婦にそのようなことを書かれたら腹が立ってしまいますよ」と言うと、「まあ、確かにそう思うこともありますよ。でも、それよりも私は旅行が大好きな気持ちのほうが上回っているので、世界中に行ける今の仕事が楽しいですし、今の職場に感謝しています」とおっしゃっていました。

皆さんは、感謝される仕事と感謝できる仕事、どちらが自分に向いている仕事だと思いますか?


▼『自分らしくはたらく手帳』(前田康二郎さんの著書)はこちらから


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