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仕事では相手に〈理由〉を添えて伝えることが大切だが、「きかんしゃトーマス」でそれをしてしまったとき


相手に理由を説明することの大切さ

取引先や委託先に商品の完成に向けて指示を出すことがある。あるいは成果物に対し、「このようにしてほしい」と指示を出すことがある。

その際、しっかり・・・じゃなくてもいいので理由を添えるようにしている。

「これこれこういうことをしたいので、こう直してください」
「これこれこういうことを目指すので、このようにしてください」
「この点は製品になるとこういう恐れがあるので、こう修正してください」

みたいな感じだ。

実際のところ、この通りにやってほしいと思って伝えているわけではない。相手先はプロなので、私の理由を汲んでいただき、往々にして私の指示を超えるより良い案を提案してくることがある。または、私の指示よりももっと目的や効果に添うプランを提示してくることがある。

つまり、指示本体よりも理由の方をみていただけるのだ。これによりビジネスにおいてよりクオリティが高いものが出来する可能性が生まれる。ここに仕事をしていて面白いところがある。相手と仕事をする良さがある。

ということで、ただ指示を出すのは良くない。拙くとも理由を添えることで、仕事の出来や効率といったものが爆上がりする可能性を秘めているのだ。

「きかんしゃトーマス」が理由になるとき

ところが、こんなことがあった(細かいところと大きなところにフェイクを入れている)。

相手は動画を制作する会社で、私はその動画が問題ないか確認する立場にあった。営業の方が言うには、最近の技術で昔の写真をまるで動いているように見せる技術があるので、ぜひこれを今回の動画の中にも含めて効果を高めたい、とのことだった。

出来上がってきた動画のなかごろのシーンで、昔の鉄道の動画があった。白黒写真の中で車両が動いている。

ところが、客車が単独で動いているのである!

これはおかしい。昔の機関車は、機関車が客車や貨車を引っ張る。客車や貨車は自力で動けない。

しかし古の白黒写真に残る客車は、今風に言うとディーゼル車に見えなくもない。現代的視点からしたら、確かに1つの車両で動き出してもおかしくなさそうではある。

ところがそれは戦前の白黒写真の世界だ。当時もディーゼル車はないわけではないのだが、少なくともこの路線では使われてないと思うし、そしてどう見てもそれは客車だ。

ということで、相手に慌てて電話する。締め切りが迫っていた。

所属を言い決まり文句の「お世話になっております」。

修正するべき点を述べる。ところがこの時、うまい修正の理由がなぜか思いつかなかった。今だったら普通に客車は動きませんよ、みたいなことを言えばいいとわかるのだが、その時は焦りすぎてわかりやすさを重視しすぎた結果変な例えで「きかんしゃトーマス」の話を相手にしてしまった。

「「きかんしゃトーマス」では、トーマスがまずおりますよね? そしてゴードン、とか、ジェームス、とか、あるいはパーシーというキャラクターがおるわけですけれども、トーマスとかゴードンとかジェームス、あるいはパーシーというのはともかく自分で動けるきかんしゃの仲間たちでありまして、これらのタイプの機関車でしたならば動画の中で動かしていいのですが、この古い写真にある車両はですね、どっちかというと客車で、「きかんしゃトーマス」でいいますとクララベルと・・・ええとなんでしたっけ? アニー! アニーです。アニー。アニーみたいな、そしてクララベルみたいな連中は自分では動けないのです。つまり自分で動けるきかんしゃと自分で動けないのがいるんです。トーマスやジェームス、ゴードン、あるいはパーシーのようなキャラに引っ張ってもらわないといけないんです。なので、この動画でこの車両を動かしては詳しい人が見たら違和感を感じると思います」

酷い説明である。

理由を添えて説明することは大切だが、その理由が「きかんしゃトーマス」だとビジネス上デメリットが生まれる可能性がある。もちろんトーマスに罪はない。

まとめ

ビジネスでは指示に理由を添えることが大切だ。ところが「きかんしゃトーマス」を理由にするときには、適切な場面で使わないといけない。


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