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『なんかちがう•••』を『なんかちがう!』に変えるクリエイティブ




こんにちは、四谷と申します。(よつや)と書いて(よつたに)です。​
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僕は、広告表現を中長期的に捉え、個々に最適化したコミュニケーションフレームを形成し、ブランドや企業の価値をよりよいものに変えていく「フレームデザイン・クリエイティブ」という表現アプローチを実践するチームに所属しています。

僕なりの解釈で、「長く愛されるシリーズ広告を考えるチーム」というとわかりやすいでしょうか。

チームでは、プランナー/ディレクターという肩書きで​CM・WEB動画広告の企画・演出を担当しています。

さまざまな過程を経て、いろんな動画広告ができあがるのですが、最終的な動画表現に落とし込むまでの過程で不意に壁にぶち当たることがあります。​
 
それは、「なんかちがう•••」という感情です。


1.「なんかちがう•••」は、靴の中の小石!?


みなさんも暮らしのなかで、ふと「なんかちがう•••」と感じることはありませんか。​「しっくりこない、なんかちがう•••」と。​
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靴の中に小石(?)が入ったとします。歩みを進めるたびに違和感を覚え、靴の中で指をもぞもぞ。一度気になってしまうと、いろんなことに悪影響を及ぼします。
 
どのような仕事もそうだと思いますが、この企画・演出の仕事の場合でも、小さなひっかかりが呼び水となって、いろんなことが心配ごととして噴出してきます。

「このセリフは、単に説明をしているだけ?」でつまらないんじゃないかとか、「企画コンテでは、面白かったギャグが滑っている?」ように思えてきたり、「そもそもこの企画で、伝えたいことがが伝わるのか?」などなど、すべてが懐疑的に見えてきてしまいます。

曖昧で得体の知れない違和感、それが「なんかちがう•••」の正体なのです。
 
この「なんかちがう•••」をどうにかするためには、誰もがやるように一度、靴を脱いで小石を取り出すことが必要です。本当に小石なのかもわからない曖昧な違和感の正体を見極めるために。
 
僕は、この「なんかちがう•••」に行く手を阻まれた際、靴を脱ぐように、試してみることがあります。

それは、「なんかちがう•••」の価値を変えてみるということです。

(余談:よくみると、あれ、こんなちっちゃかったと思うことありますよね?)

2.「なんかちがう•••」解消法は「転換の発想」だった


「なんかちがう•••」の価値を変える。

それは具体的にどうするかというと、「なんかちがう•••」の語尾の「•••」を、別の文字記号「!」や「♪」に置き換えてみることからはじめます。
 
ためしに「•••」を、「!」に置き換えてみます。すると、「なんかちがう•••」が「なんかちがう!」と変わります。
 
「なんかちがう•••」が、ものごとを懐疑的に捉える印象だったのに対し、「なんかちがう!」は、新しい発見や強い意志を感じるポジティブな印象の言葉と捉えることができませんか?
 
これは、別の文字記号で応用してみることもできます。

「なんかちがう♪」の場合だと、「いつもとちがう、心踊るような何か楽しいものの訪れ」を感じとることができるようになり、
 
「なんかちがう♡」の場合だと、「これまで経験したことのない、無上な悦び」をイメージできるようになります。
 
つまり、「なんかちがう•••」の価値そのものを捉え直すことで、これまで感じていた違和感を、チャームポイントとして見つめ直すという方法です。(小石かと思ったものが、実はダイヤの原石だったら?みたいなこと?)

感じた違和感の印象を転換することで、新しい価値の発見、発想をしやすい土壌ができあがるのです。

靴の中から何が出たのか?

3.「なんかちがう•••」は、よりよい発想を得られるチャンス


この「なんかちがう•••」を転換する方法(!?)は、
曖昧な違和感を明確化し、見る角度を変えて、既存の価値から新しい価値を見出す。いわゆる「俯瞰から捉える」、「第三者の視点」というヤツに近いことなのかもしれません。

ブランドや企業の価値を、よりよいものにするコミュニケーションフレームを形成していくために、より広く発想を広げる必要があります。そのためには、一度つくりあげたものを疑ってかかることが必要です。

「なんかちがう…」と違和感を感じることは、よりよいクリエイティブを生み出すチャンスなのです。

疑念が生まれたり、煮詰まったりしたら、ひとまず靴を脱ぐ。

4.「なんかちがう•••」 を 「♡」 や 「♪」 に変える


有名なキャラクターをモチーフにした位置情報ゲームでの事例です。ローンチ2年目を迎えるにあたり、より幅広い層の認知を広げようと、あらためてゲームの特性を紹介することを目的としたWEB動画広告です。

ご存知とは思いますが、位置情報ゲーム(略して位置ゲー)とは、歩いた出先で、さまざまなミッションを達成していく、いつでもどこでもなスマホの特性を用いたゲームのこと。

位置ゲーの多くは、設定した目的地にミッションがあり、バトルを繰り返すことが多いのに対し、このゲームは、ユーザーが歩いた分だけお花畑が広がり、多くのゲームの主目的である敵とのバトルというものが存在しない !? という特異性があります。

例えるならば、「平和な休日」。これは、『ほかのゲームとは目指すものが、「なんかちがう•••」』別ものであり、癒しを目的としたゲームだと僕は感じました。

この明確な違いをコミュニケーションフレームにできないだろうか。

ただ、ユーザーがゲームをプレイしている状況を、説明するだけでは単に「•••」となってしまうところを、利用するユーザーたちの境遇に、気分という価値を加味することで、このゲームの魅力が浮き彫りになるのではないかと考えました。

「いつもとちがうルートを歩きたくなる気分♪」、「思い切って遠出をしてみようと思い切る気分!」、「幸せすぎてうかれちゃう気分♡」。

普遍的で平和な休日の暮らしの中で、自然にゲームに触れるそれぞれのユーザーの姿を描くことをひとつのコミュニケーションフレームとし、このゲームの価値である癒しの気分を醸成していくことができました。

ユーザーそれぞれの「普遍的で平和な休日」のコミュニケーションフレーム。

5.「なんかちがう•••」 は 表現の可能性を広げる!!!!!


「長く愛されるシリーズ広告」は、長期にわたってひとつのキャラを採用し続けていることが多いようです。

白い犬や、昔話の英雄や宇宙人、関西弁の薬のカプセルなど。それぞれが、サービス説明型、消費者投影型、商品そのものだったりとバラエティ豊かです。

あのキャラといえば、あの企業、あの商品というイメージの紐付けも、認知度に伴って形成されていく理想的なコミュニケーションフレームです。(長期フレームものが必ずぶちあたる壁も存在しますが…)

ご紹介するのは、暗闇で光る特性を持つ人気IPとコラボした子ども用パジャマで、発売から15年を超えるロングセラー商品の事例です。

この商品にはオリジナルキャラクターとして、インパクト十分な平安時代の白塗り貴族( !? )が存在しており、数年にわたってファンの子どもたちに親しまれています。
 
僕がこの人気者と出会ったとき、彼は悩んでいるように見えました。

これまでに、歌やダンス、マシンガントークにテレショップ風などド派手なことに挑戦し続けてきた彼は、次にトライすべきことがなかなか決まらない、『何をやっても、「なんかちがう•••」』という違和感がつきまとうということでした。「長く愛されるシリーズ広告」がいつか必ずぶちあたるという壁です。

彼から新作動画のオチをどうしたらいいかと相談を受け、僕は『いつもと「なんかちがう!」』ことをしてみたら?と提案してみました。いつも饒舌な君だけど、「たまには黙ってみるのはどうか」と。

彼の瞳がキラッと光を帯びたのはいうまでもありません。口元を扇子で隠し、オチの一言をテレパシーで語るという斬新なやり口を披露したことで、彼のファンたちは大喜び!「台詞を排し、よりインパクトを強調」したことで、ファンの期待に応えることができたのです。

彼は、ファンに『いつもと「なんかちがう!」』という価値を提示できたことで、これからも新しい表現にトライする意欲が生まれてきたといいます。(また彼の力になれれば!)
 
ここで大切なのは、広告主さまも、クリエイターも、ファンのみなさんも、どんなことが生まれるのだろうといかにワクワクできるかということです。

こうした一体感がないと、「長く愛されるシリーズ広告」をつくることはできないのではないでしょうか。作ることを楽しむことを忘れず、表現の可能性を自由にひろげることでワクワクできる気持ち。これも、ひとつのコミュニケーションフレームなのです。

彼が何をしてくれるか?ワクワクできるコミュニケーションフレーム。
「光るパジャマ®」は株式会社バンダイの登録商標です。

6.「なんかちがう•••」という違和感は特別な価値となる(かも)


長くなってしまいましたが、僕が考える『なんかちがう•••』を『なんかちがう!』に変えるクリエイティブとは、ふと感じた違和感をひとつの気づきとして捉え、それを起点に新しい視点からものごとを見つめ直すことです。

辞書を繰ってみても、違和感に対する言葉というのはないそうで、違和感に対しての明確な答えというのは、実は存在しないのかもしれません。

ですが、ものごとの価値を捉え直すことで、欠けていたパズルのピースを埋めるようにぴったり、しっくりくる何かを発見したとき、ものごとの価値は確実に変わります。

欠点かもしれなかった部分、考えてもみなかった視点、それらと向き合うことで、嫌いなものを好きなものに180度変えてしまえる可能性を秘めています。

それは「商品開発」や「広告展開」だけではなく、あらゆるものごとに応用できるのではないでしょうか。「日常」のちょっとしたことにまで。(⁉︎)

僕は、これからもひとつの特別な価値に出会えるまで、違和感と向き合い続けていこうと思います。少しでも、この考え方に共感いただければ幸いです。

あなたの靴の中に感じた違和感。それはどのような変化を遂げるのでしょうか。(やっぱり、ワクワクできるものがいいですよね ♪ )

「♪」

7.「なんかちがう•••」の価値を変える! それが 「フレームデザイン ・ クリエイティブ」


僕が所属するチームが目指すもの。それは、中長期的視点で、個々に最適化したコミュニケーションフレームをつくるクリエイティブ。

既存の価値から新たな価値を見出すことを始点に、長く愛される広告フレームをこれからも提案し続けていきます!
「なんかちがう•••」の価値を変えていきましょう!

最後まで、おつきお付き合いいただきありがとうございました!



ご愛読(?)ありがとうございました!

四谷徹洋 Tetsuhiro Yotsutani
プランナー/ディレクター

1976年、富山県生まれ。
この広告業界に足を踏み入れること20年と少し!?(もうそんなに)
「•••」ではない何かを提案できるように、日々「なんかちがう•••」の「•••」の先のことばかり考えています。



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