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spinel3
大好きな同僚達と冬を乗り越える幸せ
朝、いつもと同じ時間にマンションを出た。黒々とした地面には、雨に濡れた紅葉がいくつか落ちていて、その色が妙に鮮やかに浮かび上がって見える。
昨夜降った雨のせいだ。
空は薄い灰色の雲に覆われ、肌にあたる風は冷たく、冬の気配が濃くなった。
試しに息をゆっくり吐いてみてもまだ白くはならなかった。まだ少し早かったかな。
通りを歩くたびに、いろいろな音が押し寄せてくる。
ビルに跳ね返る鳥の声、忙しそうに配達するドライバーさんの姿、自転車を漕ぐママは子供と楽しげにおしゃべりしている。それぞれの忙しい朝が今日も始まっている。
ふと、ポケットからノイズキャンセリングのイヤホンを取り出し、耳にはめた。
瞬間、しんっと静まり返る。外の世界がすっと遠ざかる。私だけの無音の朝。
その中で、チェロの演奏が小さな音で流れ出す。
無音の世界に響くチェロの低音に、自分の存在が包み込まれていく。
静かな音楽に耳を澄ませながら、駅へ向かう。
今日はどんな一日になるのかと想像する。オフィスのドアを開ければ、大好きな仲間の姿が目に飛び込んでくるだろう。みんなそれぞれの仕事を抱えているけれど、お互いを想う温かさ。
少し疲れた顔を見せる仲間に、お菓子をシェアしあったり、冗談を言ってみたり。
ささいなやりとり。その瞬間が、なぜか一番心に残る。
いまはチェロの音色に包まれて、朝の冷たい空気を感じよう。
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