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流れる

遠い遠い昔のこと
僕の日々は時間ときのスライスが
ひらひらと重なるようだった

言葉を信じないと決めて
長いこと川の流れを見ていた
次から次へと人々の顔が見えて
そのうち誰なのかわからなくなった

流れに手を入れてみると
水の底を転がる石が見えた
苔が生えてから枯れてしまい
魚の孵化と亡骸が見えた

僕は生活をこなしながら
ずっと川の流れを見ていた
人と石を見分けられなってから
穏やかさが手に入ったようだった

でも何かが
澱のように積もっている

見て見ぬふりをして
押し黙ってやり過ごしたが
ついに追いつかれてしまい
ツケを払えと迫られている

随分と遠回りをして
たくさん犠牲にしたのに
元の場所に戻ってしまった
捨てた言葉に押し流される

川の流れを見ていたい
ただそれだけなのに
過ぎ去った人々の魂が
僕の胸に重く乗っかっている

優しさだ愛情だ憎しみだと
幸福にご執心な彼らは
声高に叫んで鳴き散らす
川は流れているというのに

さようならにも意味はない
僕はもう川になる


What's the Use?

※多少の刺激を得ていることを除けば、この詩と動画の曲は関係はありません(それに、きっと今ならイーロンを登場させることもなかっただろう)。


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