天才すぎる青のすみかMV キタニタツヤ 呪術廻戦
このmvの評価は割れてる。
世界観にあってないとか、もっと爽やかに書いて欲しいとか、青春を描けとか、狂気や悲しみや恐ろしさみたいな言葉で片付けたりとか。
個人的に、これほどまでに原作の奴隷というか下僕というか「原作に呪われてる」mvは無いと思ってて。
mv中の主人公を夏油に重ねる人と五条に重ねる人がいるけど自分は夏油派
【青】爽、明、スッキリ、正義、善
【赤】泥、暗、ジメジメ、呪霊、悪
※善悪なんて簡単に言えない世界観ではあるけど
※あくまで個人の感想だけど
※途中までは夏油も青側だったよなあ
後ろから追いかけてくる赤を纏う人たちは、原作の中の呪いであったり宗教の人たちであったり人間の醜さであったりを暗喩していて、それから本当は逃れたかった夏油が逃げるけど逃げきれない。取り憑かれてしまう。遠くの友が飄々と青く光っている。
取り囲む赤たちが楽しそうな表情なのもまた鬱屈した気持ちにさせられる。
MVの中の主人公は白い服をきていてその白が残っていながらちょっと赤というのもいとをかし。
染まりたくて染ったのではなく、赤を禊払う中で少しづつ染っていく自分を止められなかったことを暗示している感じがたまらない……。どんどん闇堕ちスパイラルにハマっていく……。
「私たちは最強」と言っていたキラキラした若き夏油の玉折……。
まさに天才……。
そもそもそういう陰と陽みたいな言語化が難しいひとつのイメージに多層の意味が込められてるようななんとも言えないモヤモヤしたものを「赤」「青」で表現するMV、しかしながら歌の中では赤の存在は出さずあくまで「青」を推していくことで作品全体のイメージとなるオープニングの印象はさわやかに仕上げる。なんなの?天才なの???
ヤバすぎると思ったのは最後のサビ前。
すぐに赤に染まるわけではなく「何もかもわかちあえたはずだった」といいながら青の幻影を追いかけるけど追いつかない……。
「君と違う僕という名の呪いが肥っていく」
数枚の鏡に映し出される多面的な自分は、どのアングルから見ても赤に染まり始めている。後ろからは有象無象の赤が追いかけてくる。
「徒花と咲いて散っていく君」
これは解釈の余地がありすぎる。
五条なの?
夏油なの?
天内なの?
そう、解釈の余地が曲とMVにありすぎる。
ちなみに徒花とは、咲いても実を結ばない花やすぐ散る花、季節外れの花のこと。
個人的には、天内かなと。
天内に見立てた徒花に別れを告げることで呪詛師に向かいながらも、曲全体を通して、五条や天内、高専のみんなと過した青青と広がる情景に胸にしこりを残しつつ、進んでいくという意味なのかなと。
最後の鏡のシーンは、きっと時間軸的には最後じゃないんじゃないかなと思うんだ。時間軸的な最新は赤に染ってるとこでさ。胸だけが青に染まっている。赤に堕ちていく前の、自分を振り返り、どちらの道に進むのかを決める瞬間を暗喩している、つまり夏油傑が呪詛師の道に進むと決めたところなのでは無いかと。
国語の授業とかで出して欲しいレベルだよ……。
ドストエフスキーが書いたのかよこの歌……。
個人的には、最高すぎる歌。
人生で聞いたアニメソングの中で1番好きかも。
NARUTO疾風伝の「sign」くらい好き。
チャイムみたいに「ラーラーラーラー」って言うとことか、原作ファンにはたまらない手拍子とか、くっそ細かい拘りもふんだんに散りばめられてて神。