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数々の伝説を残した愛犬の彼が、歯の大切さを教えてくれた。
私が小学生の頃から実家で犬を飼っていた。
胴が長くて足が短いミニチュアダックスフンド(オス)である。
彼は、歯磨きが嫌いだった。
犬のおやつには、歯磨きを支援するようなものがある。
昔それも試していたが、彼の好みではないようで続かなかった。
犬も人間のように歯磨き的なことは必要だが、
その意識があまりできておらず、
子供だった自分はちょっとのお世話と可愛がるのみで、深い所では親任せだった。
父も犬の歯磨きの必要性は薄々分かってはいたようだった。しかし彼も嫌がるし、噛むし、
具体的にはしてこなかった。
そのことを今でも後悔している。
彼は16歳の手前で亡くなった。
犬にしてみたら結構なおじいちゃんだ。
大往生だった。
ある日後ろ足を引きずって血尿が出て、
病院にかかり、最期の数日は入院していた。
直接の死因は、全身に菌がまわって敗血症といった感じだった。
歯が直接の原因ではないけれど、
トリガーになってしまったかもしれない。
遠くからじわじわと確実に影響していたと思う。
おそらく彼は歯周病で、歯磨きを怠っていた彼の歯はボロボロで、抜けることが度々あった。
本人は気づいているのか気づいていないのか、
痛くはなさそうではある。食べにくさはあったかもしれないが、それでも食欲は衰えなかった。
歯周病は、全身の様々な臓器に影響がある。
病気のリスクとなりうる。
それは犬も人も一緒だ。
歯周病はリスクですよ!と巷で言われていても、
何となくピンとこなくて、はいはい。
と聞き流してしまうかもしれない。
歯周病になったからといって
すぐに何かの病気になるわけではない。
全然病気にならないかもしれない。
でもじわじわと蝕んでいく。
愛犬の彼が、身をもって、
歯の健康の大切さを教えてくれた。
彼の晩年
留守番をしている彼は、いつも家族の誰かが帰宅すると音ですぐに気づき、一目散に迎えに行き、そわそわ落ち着かない様子で待機していた。家族の姿が見えるとしっぽを全速力で振って迎えてくれた。
晩年は、耳が遠くなったようで、音に気づかず、ギリギリまで気づかずくつろいでいる。
帰ってきた家族がただいまと、彼を触るとちょっと驚いたような感じで喜び出す。
抜けていく歯と、そういったこと以外は、
あまり彼の老い的なことは感じず、
トータルで元気だった。
事故やヘルニアもしたが、
総じて身体が丈夫だった。
破天荒な一面もあった。
人間が出かけて家にいないのを見計らって、
何で俺様を家に置いていくんだ!
と憂さ晴らしをするかのごとく、
キッチンのゴミ箱を倒して中をあさり、
捨ててあったポテトチップスの袋の内側にうっすらこびりついていた禁断の旨み成分に気づいたであろう彼は、中を綺麗に舐めまわし、
私達家族が帰宅した時には、彼がいるはずもない
場所でポテトチップスの袋を頭から被った状態で発見された。
おそらく旨み成分に夢中で、舐めながら袋を被り移動し、足が短いので降りられるはずのない階段から何らかの形で転げ落ち、彼のいるはずのない玄関に袋と共に降りたったわけだ。
ちなみに味はコンソメパンチである。
人間でもやみつきになってしまう旨みである。
(幸いその後の彼の体調に問題はなかった)
当時の防犯カメラ映像なるものが残っていたら、
絶対に見たい。
見なくても想像つくけど、絶対に可愛い。
そんな破天荒な武勇伝を数々残し、
我が家に笑顔と勇気と希望を残していった彼である。
「昔から歯磨きをする習慣をつけていたら、もっと長生きしてくれてたかな。」
タラレバを言っても仕方ないし、
そうとも限らないのは分かっているが、
彼の死からちょうど8年経った今でも、
そう感じている。
時折寂しそうにボソッとそうつぶやく父の背中を見て、心がキュッとなる。
人も犬もどんなに健康に気をつけていても、
いつかそういう時は来る。
でも、あの時もっとこうしていたら、
なんて悔しい。
何も後悔しないなんてきっと難しいけど、
出来ることはしたい。
日々ただ歯磨きをすること。
そしてたまに歯科医院に行ってプロによるケアを受けること。
自分だけではどうしても限界があるので、
セルフケアとプロフェッショナルケアの両輪で、
歯の健康を保つことは、
私たちが今からでも出来ることだ。
自分や大切な人たちのために。
今出来ることを。