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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た

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書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親) 新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ね…
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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #はじめに

書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親) 新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。  「子育てはどうしてこんなにつらいんだろうーー」 そう思ったことはありますか。私はあります。  ライター/編集者として、「仕事と子育てを両立すること」に疲労困憊している親(特に母親)の姿をたくさん見てきました。ちゃんと育てなきゃという内側からの使命感や、ときにはプレッシャー

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #40

怒られるから「失敗」?怒られるから「失敗が嫌」? 高学年の子どもたちの対話ドキュメンテーション⑤ (#39の続き)  さらに、子どもたちの身近な「失敗」である「忘れ物」について、本質的な対話になりました。怒られるから「失敗」なのか、怒られるから「失敗が嫌」なのか、、、。 「例えば忘れ物をしたとき、『あちゃー』とがっつり落ち込む人と、『まあ次頑張ればいいか』と思う人がいると思う。みんなはどっちですか」 「どっちでもない。先生に怒られるのが面倒、みたいな」 「確かにそれは思

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #39

#39  「失敗がこわい」をどう乗り越える? 高学年の子どもたちの対話ドキュメンテーション④ (#38の続き)  書籍『失敗図鑑』(大野正人著、文響社)を真ん中において始まった「Co-musubi」小学校高学年ミーティング。子どもたちだけの対話の続きです。 「ココ・シャネルがショーをやったら『いけてない』と言われた話は、失敗じゃない気がする」(#37参照) 「確かに。『いけてない』と言われるのは、あまり失敗じゃないなあと思った。審査員の人の見る目がないだけで、ココ・シャ

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #38

「失敗がこわい」をどう乗り越える? 高学年の子どもたちの対話ドキュメンテーション③ (#37の続き) 「ひとりずつ意見を言っていく感じ?」 「そんな感じがいいと思う」 「じゃあ、みんないったんミュートを外そう」  そんな風にして、「失敗」について、子どもたちだけの対話が始まりました。司会係をあえて決めなくても、自ら自然に「交通整理」をする子が出てきたり、流れを変える絶妙な問いを投げかける子が出てきたり。自分たちで対話をつくり上げていきます。 「言いたいことがある人は

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #37

「失敗がこわい」をどう乗り越える? 高学年の子どもたちの対話から②  『失敗図鑑』(大野正人著、文響社)を真ん中において始まった「Co-musubi」小学校高学年ミーティング。 ・本の中で一番心に残っているエピソードはどれか ・なぜそれが心に残っているか   まず、この2項目を中心に、井上さんがファシリテーションして、子どもたちがそれぞれ発言します。  読んだ感想を述べるだけでは、「他人事」で終わってしまいますが、一歩深めて「なぜそれが心に残っているか」を自分に問うこ

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #36

「失敗がこわい」をどう乗り越える? 高学年の子どもたちの対話から①  間違えるのがこわい、失敗するのがこわい――。大人も子どもも、誰だって抱く思いです。  子育ての長期的な目的のひとつが、子どもの「自走」であれば、「失敗」との付き合い方はとても大事です。間違いや失敗を恐れてばかりいると、前に進めません。  さて、以前の回(#32 )で、「Co-musubi」小学校高学年ミーティングの「授業博覧会」を取り上げました。実はこれには続きがあります。  そのときの対話で、複数

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #34

対症療法に陥りがちな子育て⑤ 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション前編 (#33のつづき)  さて、子育ての「根本解決」とは何でしょうか? 「それって『もったいない子育て』!? 」第5回のオンラインイベントは子育ての「対症療法と根本解決」について、みなさまとあれこれ話すことができました(参加くださったみなさまありがとうございました!)。  まずは、自分自身の子育てで「あ、これは対症療法だな」と思い当たることをみんなでシェア。いろいろな事例が上がりました。

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #30

「喜びどころ」がずれるもったいない 対症療法に陥りがちな子育て①  子育ては修行のようです。でもそれを補完するように「喜び」もあります。    ただ、その喜びを感じるためには、親にもスキルが必要な気がします。子育ての「喜びどころ」を見逃さない。「喜びどころ」が分かると、苦しさを補って余りある喜びが得られるのかもしれません(タキビバやCo-musubiでもそういう喜びを共有する場面があります。誰かと一緒に喜べると嬉しさは増します)  例えば子どもが初めて立ち上がったとき、二

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #29

嘘をつかれても対話はできるのか(後編) 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション④   「子どもが嘘をついたときでも、親子で対話することは可能なのか」という問いについて、前回(#28)の続きです。  親子とも感情的に落ち着いた後、どんな工夫ができるでしょうか。「同じ場所に下りていくことで『対話』にできるのではないかと思います。親の意見を押し付けるのではなく提案する……例えば『あれからお母さんも考えたけど、やっぱりお母さんは嘘をつかれてショックだったんだよ』と素の自

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #28

嘘をつかれても対話はできるのか(前編) 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション③ 子どもが嘘をついた……親としてはショックで怒りも湧き上がってきます。そんな場合でも、親子で対話することは可能なのでしょうか。「それって『もったいない子育て』!? イベント」(#27)で浮上した問いです。  まず「子どもの嘘」について。「子どもの嘘にも様々な種類があるのでは」という参加者の対話がありました。 ・子どもは無意識に自分にとって都合のいいように話しをしてしまうこともある。

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #27

 ヒーローインタビューで見えたもの 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション② 「私は、常に保護者のお面をつけっぱなしで、本当の自分の顔が分からない人になっているかも、と思いました」。記事#23について、こんな感想をくれたのは、小学生の子どもがいる参加者Eさん。  「『次はご飯を食べさせなきゃ』など、わが子にやってほしいタスクが常にある。そして、子どもがそれをしないことが多いので、いつも『ちゃんとしつけないといけないのでは』という保護者モードになっています。だから

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #26

親子の対話はなぜ続かないのか 「もったいないイベント」対話ドキュメンテーション①  親と子の対話はとても大切ーー分かっていても、実際にはなかなか難しいものです。先日開催したイベント「【それって「もったいない子育て」!? イベント~対話めいたもの~】でもそんな声が出ました(ご参加くださった皆様ありがとうございました!)  「書く→対話する→書く→……」という新しいサイクル(#20参照)としてイベントを振り返ります。ちなみに今後、この試みを「対話ドキュメンテーション」と命名し

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #25

親子の間にある「対話めいたもの」④ 「空振り対話」も積み重ねに意味がある  親子の間に「対話めいたもの」と「対話」があるとすれば、「対話」とはどんなものでしょうか。 ・問いかけによって本当の気持ちが出てくるもの ・問いが重なりあって発展していくもの ・一瞬で解決することではないもの ・それぞれが信じているものをお互いに受け入れるための手法を探るもの  まだほかにも考えられそうです。  「小さいころから対話をしていたらそれほど難しくないと思います」と井上さん。  しか

井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #24 

親子の間にある「対話めいたもの」③ 思春期になってからでは遅い?    さて、親子の間で「対話する」とどんな「いいこと」があるのでしょうか? たくさんあると思いますが、一つは思春期の親子関係に関してです。  「難しい思春期になってからも、親子で話すことができるかどうか。それは小さいころからの対話の積み重ねに影響されると私は思います。必要に迫られてから急に対話しようと思ってもなかなか難しいもの。子どもが小さいころから対話しておいたほうがよかったなあ、と思春期を迎えてから後悔