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井上さんと一緒に、「もったいない子育て」をやめる旅に出た #30
「喜びどころ」がずれるもったいない
対症療法に陥りがちな子育て①
子育ては修行のようです。でもそれを補完するように「喜び」もあります。
ただ、その喜びを感じるためには、親にもスキルが必要な気がします。子育ての「喜びどころ」を見逃さない。「喜びどころ」が分かると、苦しさを補って余りある喜びが得られるのかもしれません(タキビバやCo-musubiでもそういう喜びを共有する場面があります。誰かと一緒に喜べると嬉しさは増します)
例えば子どもが初めて立ち上がったとき、二足歩行の一歩を踏み出したとき。無条件に嬉しかったのではないでしょうか。子ども自身の「立ちたい」「歩きたい」という意欲から生まれた成長を感じて、私自身もとても感動したことを覚えています。
その子にぴったり合った小さな挑戦(ストレッチゾーン)が見えていると、親は「喜びどころ」が分かります。成し遂げたことを喜んでくれる大人の存在が、子どもの自信につながり、その自信が子どもの次の挑戦の土台になります。
でも年齢が上がるにつれ、子どものできることが増えてくると、外の世界から「この年齢ならこれぐらいできたほうがいい」「次はこういうことができたほうがいい」といった情報が入ってきます。
親がよかれと思って外からの情報に惑わされてしまうと、親が考えるストレッチゾーンとそれに伴う「喜びどころ」が、その子の意志や個性、現状からどんどん離れてしまう可能性もあります。その結果、親が見当違いの挑戦を子どもに課してしまったり、何かを成し遂げても「まだ足りない」と喜べなかったりするかもしれません。
本来、ストレッチゾーンは子どもによって異なるはずです。「喜びどころ」を知るためには、子どもを観察することが欠かせません。「喜びどころ」を知ることと「子どもを観察する力」は表裏一体です。
さて、子育ての悩みは無数にあり、その悩みに対する一問一答形式の「解答」も世の中にたくさん落ちています。でも、一問一答で物事を捉えていると、縦割りにされた思考で子育てを見てしまいがちです。そして、即効性のありそうな解決策(対症療法)に飛びつきがちです。
対症療法の視点では「喜びどころ」がどんどんずれてしまいます。
(#31につづく)
書き手:小林浩子(ライター・編集者/小学生の親)
新聞記者、雑誌編集者などを経て、フリーランスのライター・編集者に。 自分の子育てをきっかけに、「学び」について探究する日々を重ねる。現在、米国在住。