ジョルノ卓也

音楽、アニメ、漫画… 察しの通りオタク。

ジョルノ卓也

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「人生で大切な事は青い鳥文庫から教えて貰った」

幼い頃から本も漫画もアニメも大好きだった。そこには無限の夢がいつだって広がっていた。    人のイマジネーションの発達に外部の創作物からの影響は欠かせない。僕が空想し、何か遠い世界の不思議な物語をいつも脳内で構築することに夢中になったのも書籍の影響が大きい。         不思議な事件を華麗に解決する名探偵。国の為、人々の為に勇気を奮い立ち上がる戦国武将の英雄譚。思わず笑ってしまうようなスラップスティックさを持つ少し不思議な学園ストーリー・・・。  まだ、小学生くらいだった

    • 書評『ネット怪談の民俗学』

      近年、ネット上で怪談やオカルトが盛り上がりを見せているのをひしひしと感じている。 YouTubeで怪談、オカルトというワードで検索をかければ、多くの動画がヒットするし、その中には数十万回の再生数を得ているものも多い。 今や、ネットはYouTubeを中心に、数多くの怪談や都市伝説で埋め尽くされている。 古来より、恐怖は凄まじい勢いで、人々の間を拡散していくものだ。スピードが売りのインターネットと怪談は元来相性が良かったのであろう。  では、ネットと怪談の蜜月はいつから

      • 書評「江藤淳と少女フェミニズム的戦後: サブカルチャー文学論序章」

        「敬愛とバランスの江藤淳論」 今回紹介する書籍は、サブカルチャーの評論で著名な大塚英志氏が、敬愛する江藤淳について述べた評論集である。 章立ては大きく分けて、2つで構成されており、前半は文学者・思想家・人間としての江藤淳がトータルで語られ、後半部に於いては、三島由紀夫や手塚治虫、柳田國男などの人物が抱いていた課題や意識を、江藤淳に接続して述べるという形式がとられている。 江藤淳という人は文学のサブカルチャー化に敏感だったことがファンの間では良く知られており、その事は文

        • ディスクレビュー「THE ROY HARGROVE QUINTET/earfood」

          Royがこの世を去ってから、早いもので、もう5年以上が過ぎた。 あまりにも早すぎたし、今でも完全に受け入れられていない。 彼はとてつもない才能を持つ、ミュージシャンであった。優れたミュージシャンというのは、一音目からして、その発するオーラというか雰囲気が全く他者とは違うのだ。 ジャズ・ミュージシャンとして、デビューした彼はまさにそのタイプであった。あふれんばかりの才気は一つのジャンルに押し込めるものではなく、Roy Hargroveにしか出せない音がコンサートやアルバムから

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        「人生で大切な事は青い鳥文庫から教えて貰った」

          「推し社会」

          「推しはいる?」こういう尋ねられ方をする事も多くなった。 私自身、最低限のマナーや社会性はあるので、こう聞かれた時には、コミュニケーションの一環として、好きな漫画のキャラクターや俳優、ミュージシャンなどの名前を挙げて、返答している。 私がアニメや漫画の世界にどっぷり浸かっていた、00年代「推し」に近しい言葉は「萌え」であった。 ただ、「萌え」が可愛いという感情の包括的表現(それでもカバー出来る感情表現が広かった)のレベルに対して「推し」は「好き」などの好意感情の言い換えとし

          「推し社会」

          ディスクレビュー「Bill Evans/Interplay」

          Bill Evansの名を知らないジャズ・ファンは殆どいないだろう。 黒縁メガネにオールバックの髪形。一見して、インテリ風の彼の演奏は繊細にして美麗。 その一音、一音が耳に強い印象を残す、名ピアニストだ。 代表作として挙げられるのは「Waltz for Debby」「Portrait in Jazz」など、彼のピアノプレイが際立つ作品が多い。 良くも悪くも、Bill Evansという稀代のピアニストの『個』としての魅力が作品全体を支配している雰囲気が強い。 https:/

          ディスクレビュー「Bill Evans/Interplay」

          書評『一九四六年憲法-その拘束』

          「最も好きな批評家・思想家としての江藤淳」江藤淳が自裁の道を選んでから、もう、25年以上が経とうとしている。 私自身は平成四年の生まれなので、リアルタイムでその活躍に触れたというよりは、20代も半ばの時期に保守思想家の一人として、まるで、古典名作に挑むかのような気持ちで『占領軍の検閲と戦後日本 閉された言語空間』を読み始めたのが彼との最初の出会いであった。 最初は、彼が優れた保守思想家であるという面にばかり、目が向いていたが、彼が世に出るきっかけとなった、文芸批評にも興味

          書評『一九四六年憲法-その拘束』

          「イタリアン・プログレについての私的な考え」

          「はじめに」プログレッシブ・ロック(以下、プログレという呼称に省略)とへヴィ・メタルは(以下、メタルという呼称に省略)は誕生から今に至るまで、根強いファン層を抱える音楽ジャンルであり、バンドの出身国や地域ごとでサウンドに特色が強くでやすいことから「ジャーマン・メタル」や「北欧メタル」といった様にサブジャンルの数が多い世界だ。 (ジャーマン・メタルの代表格Helloween。日本にもファンが多いバンドである) (フィンランド出身のStratovarius。北欧メタル随一の

          「イタリアン・プログレについての私的な考え」

          書評『心霊スポット考――現代における怪異譚の実態』

          夏になれば、テレビや雑誌、SNSなどで何気なしに、怖い話を目にする事が多くなる。 それは、霊が引き起こす心霊現象であったり、生きた人間が引き起こす、ゾッとするような話の「ヒトコワ」というジャンル。はたまた、近年では呪物や呪術といった、呪いに関する話もブームのようだ。 落語や講談といった伝統的な話芸に怪談の演目があり、怪談という言葉をYou Tubeで検索すれば、多いものでは数百万回再生されている人気動画がある日本では、大衆の間に、奇妙で怖い話を楽しむ姿勢が文化として根付いてい

          書評『心霊スポット考――現代における怪異譚の実態』

          書評「ゾンビ最強完全ガイド」

          「ゾンビ」という存在を全く知らない。 という人は現代社会に於いては稀であろう。 有名な映画やゲーム、漫画等のポップカルチャーでゾンビはその姿を何度も描写されてきた。 大衆の中に共通のイメージが根付くほどには、市民権を得ているだろう。 しかし、『では「ゾンビ」とはいったい何なのかを言語化し、説明せよ』と、言われると少し困ってしまう。生気がなく、目は虚ろでフラフラと集団で彷徨う、生者と死者の間にあるような存在というイメージは伝えられても、それ以上をすぐに言語化するのは中々難しい

          書評「ゾンビ最強完全ガイド」

          「氷漬けになった戦後」

          「名作ギャグ漫画が見抜いた戦後」日本を代表するギャグマンガ「天才バカボン」には、戦後の問題を考えるうえで、とても興味深いエピソードがある。 以下より、講談社発行の「天才バカボン13巻」から、内容を引用し、簡単に要約する。 戦争の終結から25年以上が経ち、戦前的価値観がどんどん失われていく中で、約30年間氷漬けにされ、現代に急に放り出された一郎が、戦後社会で様々な騒動を起こす様が、読者の笑いを誘う今作は、ただ、面白いだけではなく、戦前と戦後の間に存在する大きなギャップの問題

          「氷漬けになった戦後」

          ディスクレビュー「カフェ・ルーゾの アマリア・ロドリゲス」

          世界には途方もない数の音楽ジャンルがある。 私も音楽好きを自称しているが、知らないジャンルの聴いたことがない曲の方が圧倒的に多いと断言出来る。 私がこれまでの人生で出会った音楽の中には、ブラジルのサンバ。ジャマイカのレゲエ。トリニダード・トバゴのカリプソなど、自分の人生に於いて、深い感動を与えてくれた存在も数多くあった。 そして、今回レビューに選んだ「カフェ・ルーゾのアマリア・ロドリゲス」にて演奏されている”ファド”も、私に大きな感動を与えてくれた存在である。 ファドは1

          ディスクレビュー「カフェ・ルーゾの アマリア・ロドリゲス」

          「"グランジ・ロックの完成"ディスク・レビュー『Bush/Sixteen Stone』」

          Bushというバンドをご存じだろうか? 90年代に、洋楽ロックをリアルタイムで熱心に追いかけていた方にとっては懐かしい名前かもしれない。 90年代前半のロック史を語るうえで、グランジ・ロックを避けることは困難である。 細かい定義は様々あり、ここで詳細な説明は省略するが、大まかにはダークな雰囲気でハードなサウンドに、ややBPMを落とした重いリズムのロック・・・というのがジャンルとしての特徴である。 グランジ・ロック登場以前の80年代は、ハードロックとへヴィメタルがロックの世界

          「"グランジ・ロックの完成"ディスク・レビュー『Bush/Sixteen Stone』」

          「海外ドラマの今後を想像する」

          「清朝ドラマ・オスマン帝国ドラマ」以前、私のnoteで清朝(17世紀から20世紀の中国に存在した王朝)を舞台にしたドラマが中国本土で人気があり、日本でも何本かの作品は、放送や配信されている。という、紹介記事を書いた事があった。 また、その際に少しだけオスマン帝国(14世紀から20世紀の極めて長期間に渡り、現在のトルコを中心とした地域に存在した帝国)の後宮ドラマにも触れた。 今回はその続き・・・というわけでもないのだが、海外ドラマの雑感を記していきたい。

          「海外ドラマの今後を想像する」

          書評「戦後史の空間」

          「最初に」文芸評論家・磯田光一の著書はいつも私に知的な刺激を与えてくれる。今はすっかりファンとなり、機会があれば事あるごとに、彼が生前に発表した著作を好んで買い集めている。 その中でも特に思い入れが深いのは、最初に購入した一冊である「戦後史の空間」だ。 「磯田光一について」磯田は昭和一桁生まれ。世代的には文芸評論家の江藤淳や昨年、逝去された元東京都知事・作家の石原慎太郎さんがほぼ、同世代にあたる。 大正教養主義の時代に志賀直哉、芥川龍之介といった知的な新世代の作家が活躍し

          書評「戦後史の空間」

          「Tradwifeに関する私的意見」

          「最初に」最初にお断りさせて頂くのだが、今回題材にチョイスした「tradwife」について、私は何か専門的見地から論ずる事が出来ない。 何故ならば、Web記事やYouTubeの動画で知った基礎的な「tradwife」の知識しか持ち合わせてないからだ。そんな、見切り発車のような形でこの記事をスタートしてしまった事をまず、最初に読者の皆様にお詫びしたい。 しかし、私が見切り発車で衝動的にnote記事を書かせる不思議な力が「tradwife」にはある。 欧米(特にアメリカ)において

          「Tradwifeに関する私的意見」