見出し画像

おひとり様の京都案内|小野小町に託す恋

暑い暑い夏もようやく後半ですね。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?

私は少々夏バテ気味。
京都には、そんな私を癒してくれるステキな場所がたくさんあります。

え?でも京都って観光客でごった返してて、疲れない?

京都千二百年の歴史はまだまだ奥深い。

私は人混みが大の苦手ですから、そんな場所には近づきません。
きっとあなたも癒される、京都のとっておきの場所をご案内します。


小野小町に託す恋。平安の雅を感じるお寺

京都市営地下鉄「小野駅」から徒歩約6分。

今回訪れたのは、京都市山科区にある随心院さんです。

天真院尼から寄進された格式高い「薬医門」

平安時代の991年に創建された真言宗善通寺派の総本山で、代々摂関家が住職を務めてきた門跡寺院です。

和歌の名手として知られる小野小町が晩年を過ごしたとも伝わります。

小野小町の歌碑

「拝観入口」を抜けるとまず庫裡があります。
1753年に五摂家の一つである二条家の政所を移築したもの。ただならぬ趣があります。

庫裡の正面

受付を済まして境内の建物を進んでいくと、表書院に。
ここには何とも鮮やかな襖絵が目に飛び込んできます。

小野小町の誕生から晩年までが描かれている

これは小野小町の一生涯をテーマに描かれた『極彩色梅匂小町絵図』という作品。「だるま商店」という京都の絵描きユニットによって描かれたそうです。
落ち着いた雰囲気の中に、パッとここだけ梅や桜が咲き誇るよう
思わず見惚れてしまいます。

小野小町が宮仕えをする場面が描かれている

その奥に進むとご本尊を安置する本堂があります。
平安時代の貴族の邸宅様式である「寝殿造」。
桃山時代(1599年)に再興されたものですが、格式の高さが伺えます。

本堂と苔のお庭

その傍には、美しいお庭も
境内を吹き抜ける風に吹かれながら心静かに鑑賞ができます。

お庭

このほか、表書院・裏書院には狩野派の絵師による襖絵があります(撮影不可)。
宮廷文化が生き生きと描かれ、平安の雅な空気に包まれます。

境内には、恋文を下張にして作られたという『文張地蔵』や恋文を埋めたと言われる「文塚」も。
恋にまつわる歌やエピソードも多く伝わる小野小町ゆかりのお寺ならではですね。

「文張地蔵」にお願いしたら、恋が叶うそうですよ。

写経に挑戦

さらにこちらでは、写経・写仏の体験ができます。
私も人生初となる「写経」に挑戦しました。

お寺の方が、丁寧に手順を説明してくださいます。
姿勢を正して、墨をる。
だんだん気持ちが整ってきます。

墨汁でなく、墨を磨る。何年ぶりか…。梅の形をしたピンク色のものがお香

そして、般若心経を唱える。
(黙読するだけでも良いですよーとのこと)
私一人なので、小声でぶつぶつ唱えてみます。

そしてお香で身を清めてからいざ!

蝉の鳴き声と小鳥のさえずりだけが聞こえてきます。

黙々と書くこと1時間。
般若心経一巻の写経が完成しました!

お手本をなぞるだけなので安心です。初めてにしては上出来かな?

あとは、受付に持っていき奉納するだけ。

あー肩に力が入ってしもたー
ゴキゴキバキバキ

やってみたら、グーっと意識が集中して無心に近い状態に。
でも途中で、雑念が入ったり、集中力が切れたり、そういう心の動きが全て筆運びや字の乱れに現れています。
自分のいろんな心の動きが見られて面白かったです。
写経は「修行」の意味がちょっぴり分かった気もしました。

椅子と机、クーラーも入ってますので、夏も快適な環境で体験できますよ。

おひとり様で心の洗濯

境内の見学と写経で約2時間の滞在。
その間、誰ひとり観光客にお会いすることはありませんでした。
まさに“おひとり様”です。
正直、世界に私だけ取り残されたかと思うぐらいの静けさでした。
おかげさまで、ゆっくりと心の洗濯ができました。

ぜひ、訪れてみてください。

(訪問)令和6年8月の平日・午前中

タイムスリップしたかのような境内

【拝観時間】午前9時〜午後5時(受付終了:午後4時半)
      *写経・写仏は午前9時〜午後2時
【拝観料】大人500円・中学生300円
     写経は2,000円(拝観料込み)

いいなと思ったら応援しよう!