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ちなみ
2024年6月5日 17:36
読書が能動的な営みであるかと聞かれたら、わたしは「ノー」と答える。かといって、読み手は受け身に徹しているかというとそうでもない。先月、『夜ふかしの本棚』という本を読んでいたら、朝井リョウさんが『雪沼とその周辺』(堀江敏幸)を紹介されている箇所にあたった。そこには、好きだと感じた文章はその人を運んでくれるという意味のことが書かれていた。優しくも鋭い読書論が、心に残って仕方がない。『夜ふか
2024年5月11日 16:12
小説を一冊、読み終えた。物語からテーマがはっきりと浮かび上がってくるような作品だった。だらだらとストーリーが続くのではなく、背景にある筆者の考えに手が届きそうな感覚があった。こういう作品に会えたとき、表現力ってすごいなあ、といつも感じる。そんななか、思春期に出会った「わけわからん小説」たちを思い出す。梶井基次郎の『檸檬』も謎だったし、カフカの『変身』も意味がわからなかった。わたしは思考が浅
2024年5月2日 16:27
4月は出会いの月とよく言われるけれど、ほんとうにそうで。いろいろな方面で新しいつながりができてよかったなー、としみじみしている。月の前半は娘たちが春休み、または午前中授業ということで、限られた時間内で仕事に追われた。それでも、ちょっとは本を読む時間を確保できた。よし!残るは「エクササイズをしたあと眠くなってしまう問題」だ。「筋トレしてから本読もうっと」などと思っていると、睡魔に襲われて読め
2024年1月8日 16:50
年が明けた。時が過ぎるのは早すぎるといつもぼやいている私は、年末が近づいた頃からへんに開き直ってしまっていた。「まあ、もうすぐ2024年になっちゃうよ。しゃーない」。そう思っていたので、年越しは落ち着いて迎えられた。よかった。ただ、12月は忙しくて気が急いてしまい、あまり本が読めなかった。『悲しみの秘儀』 若松英輔悲しみにフォーカスしたエッセイ集。11月に義父を亡くして、ぼんやりとした
2023年7月1日 14:29
6月はいきなり台風による大雨に見舞われた、気がする。1か月も経つと記憶がおぼろげになるのが悲しい。以前、5月は逃げていったと書いたけれど、6月は走りさっていった。手もとに一瞬たりともとどまらぬ時の流れ、どうにかならないものだろうか。『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』 宮崎伸治村井理子『本を読んだら散歩に行こう』のなかで紹介されていた一冊。もちろん私は出版翻訳家ではないけれど、読