ClubOrfeo 倶楽部オルフェオ(クラシック音楽&文芸倶楽部)

「Club Orfeo 倶楽部オルフェオ」(クラシック音楽&文芸倶楽部)の主宰。英&独語圏を中心に、クラシックの音楽文献を読む企画をしています。 公式サイトhttps://club-orfeo.wixsite.com/website

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最近の記事

【来年の翻訳予定第三弾】クラウス・モディック小説「詩人のいないコンサート」

1905 年 6 月、画家ハインリヒフォーゲラーは 5 年間の制作期間を経て完成させた絵画「コンサート(または夏の夕べ)」で、芸術の金メダルを受賞しました。モディツクの小説はこの一枚の絵にまつわる物語です。  19世紀末、北ドイツ、ブレーメン郊外の小さな町ヴォルプスヴェーデに新しい芸術を目指す青年画家たちが定住し、芸術家コロニーを作りました。画家ハインリッヒ・フォーゲラーと彼のバルケンホフの邸宅は1900年以後、詩人のライナー・マリア・リルケ夫妻など芸術、文学、演劇のあまた

    • いまこそフォーレ〜没後100年〜【カルチャーラジオ 芸術その魅力】2024年10月から全13回

      NHKラジオでも10月から13回にわたりフォーレの特集をしています。フォーレの音楽はパリのサロン文化を体現するような流麗でエレガントな音楽です。一度聞くときっと虜になるはず♡ ◎聞き逃し配信あり https://www.nhk.jp/p/rs/V23VGJ2M6Z/list/ (1)いつかはフォーレ 初回放送日:2024年10月2日 今回から13回にわたり、没後百年になるフランスの作曲家ガブリエル・フォーレ(1845ー1924)の音楽の魅力を紹介します。フランスはも

      • ガブリエルフォーレ没後100年祭 in ウィグモアホールGabriel Fauré Centenary CelebrationsView

        ガブリエル・フォーレは1924年に79歳で亡くなりましたが、フランス文化、特に歌曲、室内楽、合唱曲、ピアノ曲の分野に足跡を残しました。没後100周年を記念して、一流音楽家がウィグモア・ホールに集結し、フォーレの演奏会を開催しています。 只今、演奏会ライブがYouTubeで鑑賞できるようなのでフォーレが好きな方、聴いてみてください♡ Artists Steven Isserlis cello Joshua Bell violin Irène Duval violin Bly

        • 音楽小説の翻訳その2

          Oliver Hilmes「Schattenzeit: Deutschland 1943: Alltag und Abgruende 」 ドイツの新書「ヴィッセン叢書」シリーズでドイツに関わる総合的な知識を2年間つけたあと、来年からいよいよ音楽小説の翻訳に挑戦します。 一人目は前回ご紹介した、ピアニストで小説家のハンス・ヨゼフ ・オルトハイル 。モーツァルトが歌劇「ドンジョバンニ」をプラハで初演したときの物語の翻訳をします。 二人目は、オリバー・ヒルメスの小説「影の時代

        マガジン

        • R.Wagner ワーグナー作品について
          16本
        • 倶楽部オルフェオの紹介
          7本
        • 外国語学習
          3本

        記事

          音楽小説の翻訳

          来年からドイツ語翻訳3年目になり、「音楽小説」の翻訳を始めます。 ドイツ語圏の作家達はゲーテを皮切りに「音楽を題材にした小説」を書くお家芸があります。学校で習ったり師弟関係があるわけでなく、日本の「琳派」のような流れでしょうか。  具体的には、ゲーテの「ヴィルヘルムマイスターの修業時代」、ティークの「マゲローネの恋物語」、ETAホフマン「ドンジュアン」、メーリケの「旅の日のモーツァルト」、トーマス・マンの「ファウスト博士」、ヘッセ「春の嵐」、イェリネク「ピアニスト」等。

          ベーレンライター出版「楽曲解説シリーズ

          去年、今年の翻訳1、2年目は日本の岩波新書にあたるドイツの新書「ヴィッセン叢書C.H.Beck Wissen」を中心に練習しました。ドイツについては高校世界史で少しかじったくらいで無知でしたので、まずは、ドイツの憲法、政治、歴史、哲学、宗教、産業を新書で広く学ぼうと思い、2年かけて一般常識をつけました。 来年の翻訳3年目は、ベーレンライター出版の楽曲解説本に取り組もうと思っています。ベーレンライターというと楽譜屋さんだと日本の方は連想されますが、解説本も出版しています。

          念願の「ブルックナー7番」(ノヴァーク版)を聴いてきました。

          念願の「ブルックナー交響曲7番」(ノヴァーク版)を聴いてきました。 ブルックナー7番は、ヴィスコンティの映画「夏の嵐」を観てからいつかはライブで聴いてみたいと思っていました。イタリアの伯爵夫人がオーストリアの青年将校と夜通しヴェネツィアの街を歩き恋に落ちる場面、伯爵夫人が仲間の義援金を横領して、青年将校に会うため馬車で駆けていく場面などいろんな名シーンがが頭に浮かびました。  ブルックナーの作曲意図はさておき、私には7番が劇音楽(オペラ)のように聞こえてきます。熱いドラマを

          念願の「ブルックナー7番」(ノヴァーク版)を聴いてきました。

          アルトゥル・シュニッツラーの日記Arthur Schnitzler Tagebuch(1879–1931)世紀末ウィーンの様子がビビッドにわかる

           シュニッツラー(1862-1931)は世紀末ウィーンで活躍した小説家、劇作家、医師。映画「アイズワイドシャット」の原作である「夢小説」が代表作として知られています。  ウィーン大学医学部を卒業。専門は喉頭ですが、フロイトの精神分析学に大きな影響を受け、当時のブルジョワ社会の無意識の病(性と死)をテーマにした文学作品をいくつも書いています。  実は、シュニッツラーは17歳の1879年から、69歳で亡くなる1931年まで、およそ52年間にわたり、ほぼ毎日欠かすことなく日記を

          アルトゥル・シュニッツラーの日記Arthur Schnitzler Tagebuch(1879–1931)世紀末ウィーンの様子がビビッドにわかる

          クリスティアン・ティーレマン著「R.シュトラウス」(2024年9月発売)Christian Thielemann 「Richard Strauss」

            世界的指揮者クリスティアン・ティーレマンが、敬愛する作曲家とその作品について語るシリーズ。「ワーグナー」「ベートーヴェン」に続き、ベック出版から待望の第3弾「リヒャルト・シュトラウス」が今年の9月に発売されます。  楽譜を読み込み、分析し、指揮台に上がり、先頭を切って指揮の現場で格闘してきた指揮者が語る「作曲家の創作」と「作品分析」には、作品への造詣の深さと説得力、演奏現場ならではのリアルに感嘆せずにはいられません。  ドイツではこのように魅力的な音楽書籍が発売され

          クリスティアン・ティーレマン著「R.シュトラウス」(2024年9月発売)Christian Thielemann 「Richard Strauss」

          ワーグナーに関するドイツ語文献の翻訳について

          皆さま、お久しぶりです。ここしばらくはSNSの更新をせず、ワーグナー関連の翻訳に集中していました。2年前に購入したアレックス・ロス著「ワーグナーの世界」(黄色の分厚い本)をようやく終えて、ライフワークである「コジマの日記」(下2冊)に取り掛かっています。これもなかなか分厚くて手ごわそうです。

          ワーグナーに関するドイツ語文献の翻訳について

          対訳ドイツ語で読む「魔の山」から「妙音の饗宴」

          ドイツの文豪トーマス・マンの代表作「魔の山」を原語で挑む本が出版されました(2023年12月出版白水社)。 「魔の山」は主人公の青年ハンスカストルプが7年もの間スイスの結核療養所に滞在し、いとこのヨアヒム、理性と合理主義の人セテンブリーニ、イエズス会士のナフタ、ロシア人女性ショーシャ夫人、オランダ人ペーペルコルンとの交流を通じて精神修行をする教養小説です。  小説の後半には、音楽好きのトーマス・マンらしく、主人公が最新の蓄音機(グラモフォン)でレコードを聴く場面が描かれて

          対訳ドイツ語で読む「魔の山」から「妙音の饗宴」

          平家物語から「敦盛」の笛The tale of the Heike :The death of Atsumori

          「あないとほし 。この暁城の内にて管絃し給ひつるはこの人々にておはしけり 。当時御方に東国の勢何万騎かあるらめども軍の陣へ笛持つ人はよもあらじ 。上臈はなほも優しかりけるものを 。」とてこれを取つて大将軍の御見参に入れたりければ見る人涙を流しけり “Oh, how awful! At dawn today, within the fortress, you could hear men making music, and obviously he was one of th

          平家物語から「敦盛」の笛The tale of the Heike :The death of Atsumori

          ペーターハントケ「ドンファンー本人が語る」【ドンファンの系譜ー芸術家たちの様々なドンファン像】

          「ドンファンは誘惑者ではなかった。彼はそれまで一人の女も誘惑したことがなかった。(略)反対に、ドンファンも一度も女から誘惑されたことはなかった。Don Juan war kein verführt .Er hatte noch nie eine Frau verführt .(略)Und umgekehrt awr Don Juan auch noch keinmal von einer Frauverführt worden.」(本文引用)  オーストリアの2019年ノー

          ペーターハントケ「ドンファンー本人が語る」【ドンファンの系譜ー芸術家たちの様々なドンファン像】

          ETAホフマンの短編小説「ドン・ジュアン」【ドンファンの系譜ー芸術家たちの様々なドンファン像】

          「地下の幽界の身の毛もよだつ音につれて、ドンジュアンも小人にしかみえないような巨大な大理石像が入ってきた。ずしんずしんと踏み鳴らす脚の下には地震が起る。ドンジュアンは風すさび、雷鳴とどろき、鬼神の咆哮(ほうこう)するなかを頑強に「否」を叫んでいる。破滅の時期は迫った。Der Boden erbebt unter des Riesen donnerndem Fußtritt. – Don Juan ruft durch den Sturm, durch den Donner,

          ETAホフマンの短編小説「ドン・ジュアン」【ドンファンの系譜ー芸術家たちの様々なドンファン像】

          「ニーベルングの指環」と「平家物語」

          平家物語成立後700年の眠りから覚め、ドイツでは2022年に初めて「平家物語」のドイツ語翻訳が出版されました。  ワーグナーの歌劇「ニーベルングの指環」の原作であるドイツ中世叙事詩「ニーベルンゲンの歌」も13世紀頃作られ、読み人知らずの口承文学、叙事詩、軍記物語、恋愛あり、滅びの美学ありで平家物語と重なる部分があり、平家物語はドイツ人にも親しまれる要素を持っている作品だと思っております。  源義経は、軍人としては英雄だが政治に疎い点でジークフリートそのものだし、馬術が達者

          源氏物語「胡蝶」~六条院での船と管弦楽の遊び

            源氏物語には様々に印象深いシーンがございますが、春の季節、光源氏が唐船を造らせ六条院のお庭の池に船を浮かべ、雅楽寮の楽人を呼び、船上で音楽の催しをした「胡蝶」の場面は風雅の極みと言ってもよいでしょう。  桜、藤の花、山吹が花盛りの中、親王や上達部、若い女房達がみな着飾って、楽人の舞楽の調べに聴き入っております。また当時の貴族は楽器の素養がありましたので、上達部や親王たちもそれぞれ筝の琴や琵琶、笙、篳篥や横笛を奏でるのでした。  六条院の管弦の遊びには、耳慣れない世に

          源氏物語「胡蝶」~六条院での船と管弦楽の遊び