来年からドイツ語翻訳3年目になり、「音楽小説」の翻訳を始めます。
ドイツ語圏の作家達はゲーテを皮切りに「音楽を題材にした小説」を書くお家芸があります。学校で習ったり師弟関係があるわけでなく、日本の「琳派」のような流れでしょうか。
具体的には、ゲーテの「ヴィルヘルムマイスターの修業時代」、ティークの「マゲローネの恋物語」、ETAホフマン「ドンジュアン」、メーリケの「旅の日のモーツァルト」、トーマス・マンの「ファウスト博士」、ヘッセ「春の嵐」、イェリネク「ピアニスト」等。
その系譜は現代でも続いていて、今回翻訳するHanns-Josef Ortheilさんは現代作家でピアニスト。音楽関連の文筆業もされています。
小説の内容は、1787年の秋、カサノヴァがプラハを訪れた際、モーツァルトもプラハに滞在中でオペラ「ドン・ジョヴァンニ」の初演を準備している最中でした。台本作家のロレンツォ・ダ・ポンテも登場し、ドンジョバンニのオペラがどのように生まれたかを物語の中で展開するというお話です。
もう一人気になっている現代作家の音楽小説があり、それも翻訳予定です。特に依頼されているわけではないのですが、建築家の安藤忠雄さんがご著書で「仕事は自分で創れ!」と強烈なメッセージを発していたので、自分にチャンスがありそうなことを自分で見つけてきて、挑戦しています。
昔、「奇想の系譜 」という著書の影響で伊藤若冲の絵が人気になりましたが、私も近いうち「音楽小説の系譜」というキンドル本を出版して、あまり知られていない音楽小説作品を世の中に紹介できたらいいなと取り組んでいます。