読みたい本に出会い尽くすには、人生はあまりに短い
かねてからの夢だった、アメリカの書店と図書館を巡る旅を終えて帰国してから、5日が過ぎた。
スーツケースを片づけ、部屋を掃除し、心療内科と整骨院通いを再開して、再び地味な日常に戻ると、わっせわっせと本屋をはしごした10日間は幻だったように思えてくる。
◆◆◆
まずまず順調に旅は進み、無事に成田空港へ着いて帰宅した時にはホッとしたが、旅の道中、我が愚かさゆえのトラブルはそれなりにあった。
以下、旅行中にぎゃあ〜と叫んだこと3つ。
①スマホのバッテリー残量が足りず、泊めてもらった友人宅へあやうく帰れなさそうになった。
ニューヨークで、googleマップを使って単独行動で本屋をはしごした日のこと。電車の乗り継ぎや道順はすべてgoogle様頼みなので、バッテリーがどんどん減っていく。
今回の旅にスマホの充電器はもちろん持参したが、肝心の単独行動の日に持って出かけなかったので、友人宅からほど近い場所まで戻ってきているのに、あと5分ほどのあたりで道に迷い、どうしても辿りつけない。
なんとか近づいていきながらも、残り1%になってヒーヒー焦っている時に10メートルほど先から聞こえた「エリンギちゃ〜ん、こっちだよ〜」という友人の声は、まさに神の声であった。
②持参すべき睡眠導入剤の量を間違えた。
1日2錠、10日間で計20錠なくてはならないのに、ふと気づくと10錠しかない。
がーん・・・。なんてことだ。
旅の支度をしていた時に、「10日間だから10錠ね。薬の英文証明書も手配したし、ヨシ、これで完璧!」と満足したが、あんたが飲むのは1日2錠でしょうが!
仕方なく1日1錠で済ませたが、やはり寝つきが悪く、ほとんど眠れない日もあった。
ひどい悪夢にも襲われたが、薬を適量飲まずに寝るとそういうことはこれまでにもあったので、想定内ではあった。
こんな悪夢を見たのは、5年前にうつ病を発症してから経験してきた苦しみの膿が出ている証拠なのだ、膿を十分出したら、これから人生は良い方向へ向かうのだと、前向きに捉えるようにして、日中は寝不足ながらも旅を楽しんだ。
③風邪薬を持参しなかった。
風邪薬や胃腸薬は旅行の必携品だというのに、メンタル系の薬にばかり気をとられて、持っていくのを忘れた。
そして旅の半ばで喉と体の節々の痛みが発生。
うぅ、せめて風邪薬があれば・・・。
シカゴの空港でアメリカの風邪薬を買ってはみたが、このところ老眼が急激に進んだせいで(笑)パッケージの英文の極小文字が良く見えないし、薬の色はやたらと毒々しいしで、なんとなく不安で結局飲まなかった。
まあ幸い、ひどくならずに済んだので良かった。
◆◆◆
そんな調子でアワアワしながらも、本屋と図書館を巡る旅はうまくいった。
自分の人生における本というものの存在の大きさを再認識し、膨大な本の中に身を置いて幸せを噛みしめると同時に、切ないような気持ちにもなった。
読みたい本に出会い尽くすには、人生はあまりにも短い。
今回購入した数冊の本も、たまたま目につき、手を伸ばし、買ってみたがゆえに、我が家の本棚へやって来ることになった。
ある意味、奇跡である。
出会えないで終わる本のほうが、圧倒的に多い。
でも、だからこそ、人生において出会える本はごく限られているからこそ、出会えた奇跡に感謝して、大切にしていきたいと思う。
(面白いと思えなかった本との出会いも、まあそれはそれとして・笑)
◆◆◆
旅先で書き連ねた私の拙い旅行記を読んでくださった方、スキをくださった方、コメントで応援してくださった方、本当にありがとうございました。
私にとって、とても大きな力になりました。
◆◆◆
追記:
旅の最後にロサンゼルス郊外の住宅地で思いがけず出会った、小さな小さな図書館。
可愛すぎる!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?