2023年読んだ本(1-3月)
クリストファー男娼窟/草間彌生
意識とか認識から遠く離れたものをぶつけられたような衝撃、いやたしかに言葉が踊ってはいるのだが、その字面が直ぐには入ってこない。なのに、引き込まれる。心のどこかにある「拒絶」や「違和感」が首をもたげてくる。いかに囚われているかを、分からしめてくれる見事な本。
好きなようにしてください/楠木建
めちゃくちゃ面白かった。楠木節さく裂!これだけ同じフレーズを多用(というか濫用)しているにもかかわらず、最後まで飽きさせない。オジサマ(DCN!)全開で痛快。読み直して、プレイリスト作りたい。焚き付けられる。好きなようにしよう!
相対性理論を楽しむ本 よくわかるアインシュタインの不思議な世界/佐藤勝彦
文系カチコチ脳の私の頭ではついていけず難儀したが、読後感は最高。アインシュタインの頭の中をほんの少し覗けたような錯覚。特殊相対性理論は少し理解した気になったが、一般相対性理論は理解が追いつかない。等価原理?宇宙に想いを馳せながら。
ブラームス 大音楽家 人と作品/門馬直美
著名な研究者である門馬直美の音楽之友社もの。文章は平易とはいえないが内容が濃く、淡々とファクトを積み上げていく文体はとても写実的。年表と関係者索引が秀逸。大好きなブラームスにあらためて触れ、重ねた歳のせいか、染みるものがあった。仲間との絆。
「仕事ができる」とはどういうことか?/楠木建・山口周
「美意識」絡みですぐに読めた。知的水準の高い飲み屋でのおじさん達の会話と言うと、言い過ぎか。「センス」の重要性を「ある」状態と「ない」状態のさまざまな例を挙げて、お二人の知見を総動員して説明してくれている。最後の作曲の下りで涙。
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」/山口周
会社の読書研修になったので会社のカネで買えた。ウチ良い会社。NewsPicks等で見ていたが著者の本は初めて。示唆に富む比喩(メタファーだいじ)が多くあり網羅的で様々な角度から美意識に切り込んでいたが、いささか物足りないか。お人柄なのか、柔らかい物腰にスッキリする読後感はあった。
神(サムシング・グレート)と見えない世界/村上和雄・矢作直樹
何とも不思議な本。老いるということや死を意識するにはまだ若いかもしれないが、量子論との関連性、情報の器としての遺伝子との考え方は、表層的には「トンデモ」理論のようで何となくの納得感がある。サイエンス偏重の時代に一石を投じる内容。
桶川ストーカー事件 ー遺言/清水潔
すごい本だった。ノンフィクションのリアリティ。凄まじい現場感。あとがきのお父様の文章に泣いた。恥ずかしながら「風俗嬢がストーカーに殺された」程度の事件としか記憶になかった。大反省。やり遂げる仕事っぷりに、大いに感銘を受けた。
ストーリーとしての競争戦略/楠木建
面白い。著者のお人柄をNewsPicksでも楽しく拝見していたが、読ませる力、引き込む力がズバ抜けている。ところどころ挟むボケがまた面白い。語彙のチョイスも秀逸。おっと、とても真面目な本ですよ。ちょうど戦略をつくることがあって大いに参考にさせていただいた。電子版Amazon半額ポイントキャンペーンで購入。
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