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成長するカレー
うちのカレーは、成長する。
私が普段作るカレーも冷蔵庫の中身と相談した具材なので、もともと『これがうちのカレーです!』というのは、ない。
強いて言えば、季節の野菜ゴロゴロ系。
肉の種類は問わず、なくても可。
あった方が味が深い気がするけど。
では、主役は何か?
子供と作るカレー
そう、主役は作り手だ。
実は学校で、家庭科が始まってから今まで、調理実習ができていない。
現状まだ仕方がないとはいえ、私が遠いとおーい昔の学生時代、クラスメイトとわちゃわちゃと作る料理は楽しかった。
今と同じで働く両親を手伝っているのか、包丁を使いこなす人、主に食べる専門と決めている人、出来上がりまでに使った器具は洗っておくよう先生に言われ、泡だらけになる人…何はともあれ、経験してほしいが、できないなら家でやっておいた方がいいかと、「カレー、手伝って!」を始めた。
大人の包丁が大きくて親指がうまく食材の支えにならないので、ペティナイフを買った。
自分の包丁に、「ピッタリ」とご満悦である。
まずは、切り方の名称くらいは知っていないと。
玉ねぎは…「うわ、目が痛い!涙出る!」逃走。
「細胞を切ると、そうなるんだよ。」と言いながら、代わりに私が号泣する。一応線切りが多い。
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「これは、何切りにしよう?」私が聞く。
「まあ、普通に。」
斜め切りね。
もっと寝かすと斜め削ぎ切り。お刺身とかの。
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「回しながらまっすぐ切れば、危なくない。さて何切りだ?」
「…飛天御剣流。」
るろうに剣心か。
「乱切り。テストに出るよ、絶対。」
「テスト、ないもん。」
「常識なんですー。」
ちなみにじゃがいもも、乱切り。
ただ皮剥きはまだ練習中。親指でおくるのが難しい。
私はピーラーを使わない。
ただ単に勢いが怖いだけだが。
包丁一本で芽も取れるから、持ち替えなくてすむ。
今回は、ナスを渡したら輪切りにしていた。
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炒めているのはわかるが、皆さん気になるだろう、「一部、焦げてるよね?」
は、切ったそばから私が炒めながら、そんなこんなを喋っていて、たまに疎かになるからである。
でも二人で作れば、早くできる。
切る手際は良くなっている。
時短、大切。
「煮るのに、野菜を全部炒めるのは何でだ⁈」
「んー…。」
「答えは、煮崩れしにくくなるからです。…テストに出るよ。」
「だから、ないんだって!」
ふっふっふーと不敵に笑いながら、煮込みに移る。
あとは、ルーを溶かすだけだ。
あまり余計なものを入れない方が、子供の好み。
小さい頃は、一人甘口のために小鍋に分けたりしていたが、中辛を食べられるようになってくれて楽になった。
辛い方が好きなお父さんは、自分で好きな香辛料を加えている。
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火を止めて、菜箸で摘んだルーを滑らせるように溶かす。
おたまの中でもいいのだが、小さくなっていくのと離さないようにするのがスリリングで楽しいらしい。
そして、弱火でトロミを出したら、
出来上がり!
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自分で作ると、また格別だ。
おかわりのときもある。
実は野菜が苦手なお父さんのためにも、一口大で、特に苦手なニンジンはさらに小さく。
「食べないんだよねー。」
どっちが親か、わからない。
でも、子供が作ったと言えば、「そうかそうか。」と食べるのだが。
カレーのおかげで、いろいろできるようになった。
そのうち、他にも入れてみたりするだろう。
今日はテレビでみたと、トマトのヘタを私の知らない取り方をした。
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なんか、上級者。
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そして、くし形。
夏野菜が増えて、栄養バランスよくなるね。
ちょっと指、危なくない⁈ というハラハラを、いつも秘めながらも、料理は好きなようだ。