イタリア庶民料理の研究〜歴史上’声なき’人々の料理を紡ぎたい〜マンスリーレポートVol.21(2024年9月)
皆様、チャオです!
ボローニャ大学博士課程で、イタリア料理の文化人類学を研究しております、中小路葵です。
研究を応援して下さる皆様に向け、活動報告としてマンスリーレポートをお届けします。
研究の進捗
今月の目玉はなんと言っても、初の学会発表だったので、それを中心に動きました。
9月中旬まで日本での一時帰国、個人的なライフイベントもあり、なかなか研究だけに専念できる時間が少なくなってしまったのですが、学会発表の準備はしっかりとできました。
読み進めている論文の要約は、こちらのマガジンにまとめています。
ガストロノミー学会「Shaping gastronomy. Regenerating food systems and societies」へ
9月26日から28日に、イタリア最大のガストロミー大学UNISGが主催する国際学会「Shaping gastronomy. Regenerating food systems and societies」が開催されました。
すごく充実した、素晴らしい経験のできた学会でした。
1. まず、研究者として、初めてプレゼンをしました。
博士課程1年生の私が、偉大な研究者の中に混じって発表するのは大変恐縮だったのですが、きちんとやって来たことを発表し、良い質問ももらえて、成功でした。
プレゼンそのものもそうですが、プレゼン準備で今までの研究を総括し、見直せたのも良かったです。
2. それから、研究者の仲間、先輩との素敵な出会いに恵まれました。
学会で出会った皆様は、素敵な方ばかり、キラキラしていました。
なんでこんなにキラキラしてるかというと、心から情熱を持ったことをやってるからかな、と。
好きな分野のことを深掘る、これぞ「アカデミアの幸せ」を、皆んなが持ってる感じ。
皆んな自分がやってることが好きだから、話すほどに面白くて、場が本当に心地よい。
優秀で、人間力が高くて、刺激し合える仲間と出会えたことに感謝です。
3. そして、スローフードの創設者Carlo Petrini氏の直々のお言葉が心に刻まれました。
「研究者でいる時も、食べる時も、同じジャケットを着なさい。PleasureもKnowldgeは共存できる。だから、真の意味で美味しいものを求め続けなさい。そのために、知を積み重ねなさい。」
ゆっくりと、強く、話される、含蓄豊かな言葉、人生を肯定された気持ちで涙が出そうになりました。
これからの研究者である私たちの使命は、独りよがりでなく、Convivialityを大切に、深い知の学びを、社会に豊かさとして還元することだと、改めて心に刻みました。
また、もう一度研究の問いを問い直して、章立てを考えています。
料理におけるデジタル、という側面では、
・デジタル時代に人は、なぜ、何を、どのように料理するのか
・デジタルは人々の料理をどのように豊かにできるのか
という問いに対し、デジタル・エスノグラフィというメソドロジーでアプローチします。
また、デジタル時代における料理、という側面では、
・ボローニャの家庭料理において、どのように「伝統」を「革新」させているのか?
・ボローニャの家庭料理において、「伝統」と「革新」はどのように共存しているのか?
という問いをたて、フィールドワーク・インタビューからわかったことをまとめています。
Reading listに本や論文が溜まってきているので、とりあえずしっかりと先行研究を勉強しながら、自分の研究のテーマに活かしたいと思います。
というわけで、2024年10月、以下やりたいこと。
・ポルトガルでの国際学会発表の成功
・インタビュー:目標10件+質問し直し
・関連の研究を勉強:Reading list読み進める
・章立て
知見はまた研究会でもシェアさせて頂きたいと思います。
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ボローニャ大学博士「食の文化人類学×デジタル」研究
ボローニャ大学歴史文化学部博士課程「Cultural Heritage in Digital Ecosystem」の学生が、研究内容を共有…
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