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(読書) わたしが先生の「ロリータ」だったころ
アリソン・ウッド
服部理佳 訳
(内容紹介)
ナボコフの名作『ロリータ』に
なぞらえられた少女が、
物語を自分の手に取り戻し、
次の世代に手渡すまで。
恐ろしくもパワフルなノンフィクション。
孤独な高校生のアリソンは、
新しく赴任してきた英語教師の
ノース先生と出会う。
先生は彼女の文才を見出し、
放課後に文芸創作の個人指導をするように。
コーネル大学を卒業し
ナボコフの『ロリータ』を愛読する、
知的でセクシーな彼に惹かれてゆくアリソン。
しかし、それは恋愛に見せかけた
抑圧の日々のはじまりだった……。
古今東西、数々の作品で描かれてきた
「大人の男と少女の恋愛」という
図式のいびつさを暴き、
支配的関係から自らの知性と
文学批評の力で逃れた少女が
大人になって綴ったメモワール。
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以前に「ダーク・ヴァネッサ」という
本の事を書いた時に
コメントで教えてもらった本。
教えてくださったのは
“こはだ”さん。
ありがとうございました。
☆☆☆
第一部を読んでいる時は
17歳の女の子と26歳の教師 2人の
よくあるような恋物語のように思えた。
多感な時期に素敵な
(知性があり、余裕があり、
優しくリードしてくれる)男性に出会えば
普通の女の子ならきっとときめくし、
実際、高校時代、私の周りにもそういう先生や
彼等に憧れている生徒がいた。
色々と病んでいたアリソンにとって
自分を認めてくれたり、
特別扱いしてくれるノース先生は
王子様で救世主で、理想の恋人だったのだろう。
でも、第二部から
ノース先生の本性?が現れ、
アリソンは驚き、戸惑い、疲弊していく。
第二部を読んでいても、アリソンへの
グルーミングや支配というよりは
恋人同士のよくある関係のように思えて
読んでいてとても共感できた。
我慢できない事があっても
その後、優しくされると許してしまう部分など
自分にも覚えがあるし
相手を伺い、自分から相手の望むようにしたり
媚びてしまったりするのも
あるあるだよね、という感じだし。
ただ、ノース先生がアリソンとの関係を
「ロリータ」に擬えていた事から
その欺瞞を疑うようになったことで
普通の?恋愛にはならなかったのだと思う。
第三部で自分がどう扱われてきたかを分析して
昇華したところが素晴らしい。
自分に自信のない女性や
自己肯定感の低い女性への
恋愛のバイブルとしても使えそう。