「死ぬ」と困るのは誰なのか

「死にたい」と聞くと、人は反射的に言ってしまう。
「死ぬのはよくない」とか「しんどいのは今だけ」とか、どうにかしてその人に死を選択させまいと。

確かにその痛みは一時的なものかもしれない。
ずっと頭痛が続くことを想像する人はきっといない。

だけど、想像に容易くないことは起こるし、一生続く頭痛だってある。
一生続かなくても、一瞬で全部投げ出したいほどの痛みを感じることも。

死して困る、悲しむ、しんどくなるのは他者。
死後の世界はわからないし、自殺したら地獄行きだって言われているけれど、それだって周囲の人の負担を考えて生まれた言葉ではないか。

安楽死ができるようになれば死ぬ人が今よりも増えるというけれど、そうでなくても人は自ら死を選ぶ。

私は死についてより冷静に向き合えるようになる分、衝動的に死を選ぶことは無くなるのではないかと考えている。

衝動的な行動は後悔につながる。
きっと自分で死を選んだことが後悔できるのならば、衝動的に「してしまった」場合だろうから。

理解されなくても、仕方ない。
苦痛を避けたいのは本能でもあるから。
ただ、誰かが大切な人を失いたくないのと一緒で、死を選ぶ人ももうこれ以上自分がしんどい思いをしたくないと思っている。

自分と異なる意見を受け入れるのも容易ではない。
けれど、そんな考えもある、と片隅に置くだけで、生きづらさや生きることに対する考えが変わる人もいる。