3度目の初恋で詰んだ 最終話「愛し君へ」
それから数年後のある朝。
ちよちよとした朝の気配に目を覚ます。
ここ数日暖かった分、今日は少し冷たく感じる。レースのカーテン越しに漏れる光が僕の目を撫でる。促された僕は窓を開けようとベッドから腰を上げる。窓を開けると両頬をなぞって入ってきた風が小さな部屋の空気を一掃してくれた。アパートから見える大きな楠に陽光が差して気持ちよさそうに煌めいている。今日は散歩日和だな。休日の今日はそろそろいつもみたく彼女がやってくる頃だ。窓を閉めると僕はまたベッドに戻り、布団にくるまった。入れ