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マネジメントで意識したい「関係の質」と「好循環」

 組織やチームに属したとき、自分の属する組織がよりよく発展していくためにはどうすればよいか、誰しも自然に考えると思います。
 それがリーダーやキャプテンという立場になるとなおさら。複数人で構成される組織をどのようにマネジメントしていき、成果をあげるかということは非常に難しいことです。

 今回は僕が大小問わず、チームのリーダーになった時に大事にしている考え方をご紹介いたします。

 ちなみに、この考え方を学んだのは中学3年生の時。僕はサッカー部のキャプテンだったのですが、当時の顧問から「明日からしばらく練習頼むな」と言われたことがキッカケでした。
 僕の通っていた中学校は、当時素行の悪い生徒が多く顧問の先生は日夜生徒指導に追われていました。日に日に生徒指導に費やす時間が増え、とうとう部活動に顔を出せなくなってしまったのです。
 キャプテンだから練習を仕切ったりはしていましたが、いきなり練習メニューを考え、チームにその意図を落とし込む必要性が生じました。はじめてチームのマネジメントを意識した瞬間であり、慌てて父のパソコンを借りて組織のマネジメントについて調べました。
 その時、たどり着いたのが「組織の成功循環モデル」でした。

組織の成功循環モデルとは

 成功循環モデルとは、より良い組織を生み出すためのフレームワークや考え方のことです。これは、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム氏が提唱した概念です。 
 成功循環モデルに当てはめ、組織の現状を捉えることで、今後よりよい組織を生み出すために必要となる具体的な方法が明らかになります。

 会社組織であれば、その存在意義・目的は多くの場合「利益を出すこと」にあります。部活動をはじめとしたチームの場合は「試合に勝つ•大会で優勝する」などでしょうか。つまり「結果を出すこと」を目的としてつくられている組織が多いということです。

 ダニエル・キム氏が提唱した成功循環モデルにおいて、結果至上主義の組織は、長期的な視点でみると成果につながらないとされています。
 売上や利益などの成果は、単一ではなく複数の要因が相互に関連しあって生じるものです。たとえば営業を主とする仕事において、インセンティブを与える対策などの直接的なアプローチだけでは、成果を生み出す組織にはなりえません。

 成功循環モデルでは、従業員やメンバー同士の関係の質を向上させる取組を重視します。関係の質の向上により、従業員のコミュニケーションが活性化し、企業(チーム)へのエンゲージメントが高まります。

「最初に追い求めるのは結果ではなく、メンバーの関係性の向上」。一見すると遠回りにもみえる取り組みですが、関係の質を重視した施策が、長期的には成果を生み出す組織づくりにつながります。

成功循環モデルにおける4つの質

 成功循環モデルには「4つの質」があり、この4つの質を変化する動的なものとして捉え、それらの相互作用・循環を意識していきます。

◆関係の質
お互いに信頼があり、人と人の間に垣根がなくコミュニケーションが取れている状態。
思考の質
理解が浸透しており、多くの質問やアイデアが出る状態。
行動の質
効果的な行動を積極的に取ることで、新しい行動が生み出される状態。新しい行動によって、組織の仕組みや基準が変わる。
結果の質
組織の目標が達成でき、高い成果や業績をあげられた状態。

循環モデルにおける4つの質

 そして、この4つの質は下記のようにループしています。ポイントは循環は一周で終わるものではなく、ループし続けているという点にあります。

Musubuライブラリより引用

悪循環(バッドサイクル)

 そして、組織の循環モデルには2つのサイクルがあり、これらを構成する4つの質は同じですが、それぞれ起点が異なります。
 まずは、悪循環(バッドサイクル)からです。

LEADERSより引用

 活性化していない組織や結果だけを求めている組織は、バッドサイクル(悪循環)に陥っている可能性があります。このとき、成果だけを上げようとしているため「結果の質」を起点にサイクルが始まります。
 見かけ上、成果が出ているように思えるけど実は離職率が高い、といったような企業も実はこの悪循環に陥っている可能性があります。

 まずは、成果をあげるために「結果の質」を向上させようとします。ここで成果がいきなりあがればいいのですが、なかなか成果につながらない状態が続くとメンバー間での対立や責任の押し付けが起こり、信頼関係が築けず「関係の質」が低下します。「関係の質」が低下すると、各メンバーが自然と受け身の姿勢(やらされ仕事)になるため「思考の質」が低下します。さらに、自発的な行動が取れず「行動の質」が上がらず「結果の質」がさらに低下します。

 バッドサイクル(悪循環)のとき、4つの質の各段階では以下のようなことが起こっています。

①結果の質
成果・業績だけをあげようとしてしまい、目標が達成できない状態に陥っています
関係の質
挨拶や世間話など、メンバー間でのコミュニケーションが減り、対立や押し付けが起こります。また、命令や一方的な指示が増えてしまい仕事がつまらないと感じ始めます
思考の質
失敗を回避するため、自発的に考えることをやめてしまい受け身の姿勢になります。「どうせ自分の意見なんて通らないし」と思い始めることも
行動の質
自分のことだけを考えるようになり(保身的)、自発的に行動できず消極的な姿勢になってしまいます
結果の質
①〜④の悪循環により、さらに成果が上げられなくなります。

好循環(グッドサイクル)

 次に、好循環(グッドサイクル)です。

LEADERSより引用

 グッドサイクル(好循環)は、周囲の人とのコミュニケーションを高める「関係の質」を起点に始まります。
「関係の質」を高めると、それぞれが目的意識を持ち、自主的に前向きに考えられるようになるため「思考の質」が高まります。「思考の質」が高まると、それを実行しようと自発的に動くようになり「行動の質」が高まります。また「行動の質」が高まると、成果につながり「結果の質」が高まります。「結果の質」が高まると、さらに「関係の質」が高まります。

 グッドサイクル(好循環)のとき、4つの質の各段階では以下のようなことが起こっています。

①関係の質
組織内で自然な声かけや挨拶、世間話が行われます。そうすることで、仕事へのビジョンや思いを共有でき、お互いを信頼し合える関係に発展します。また、社外の人とも関わり合えるようになります
思考の質
組織内で起こっていることに関心を持ち、当事者意識を持てるようになります。物事の受け止め方も柔軟になり、視点も高まります。そうすることで、組織の目的や存在意義を考え、チームとしての思考力も向上します。
行動の質
周囲の人々を支援したり、アイデアの共有・相談をしたりするなど主体性が高まります。これらの行動を繰り返すことにより、自発的に動き、積極的に行動できるようになります
結果の質
行動の質が高まると、成果につながりやすくなります。また、目標に到達した時の達成感や成果を実感できるようになります
関係の質
1〜4のサイクルを循環させることにより、さらに信頼関係が高まります。

夫婦だって、家族だってチーム

 成功循環モデルは一見、会社組織やスポーツチームにしか当てはまらないように思えますが、この考え方は組織の最小単位である夫婦にだって落とし込むことができます。

 子どもが産まれ、僕たち夫婦二人の今の目標は「子どもを安全にのびのびと育てる」ことです。その結果を追い求めるために、上記のグッドサイクルを意識して夫婦の関係の質向上を常に重視しています。
 夫婦の関係性を良くしていくことで、子育てについて自発的に考え、行動し、子どもに良い影響を与える(与えられているかはまだ分かりませんが…)。ひいては、子どもも加わった家族というチームの関係性向上につなげていきたいと考えています!

まとめ

 組織やチームをマネジメントするのに苦労しているという方は、ぜひご自身の組織体系を見直し、悪循環に陥っていないか確認してみてください。
 組織づくりの順番を工夫するだけで、成果がガラッと変わることもあります!


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