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遠距離恋愛、人間冥利。

2022年。社会人4年目。道民4年目。
26歳の僕が知る限り、1番良いニュースが少なかった1年。戦争と疫病。あの日本でテロがあったし、Jアラートで目覚めた朝もあった。寝ぼけ眼に「ミサイル発射」の通知は荷が重すぎる。10秒後には死んでるかもしれない朝、あと5分だけ寝かせてほしいと思った。案外そんなもんなんだろう。

そんな2022年に僕は結婚をした。

「せめて陸路で埼玉に帰れる範囲でお願いします」

4年前の春、人事部にそう伝えた。彼女とは付き合って半年も経っていなかった。採用面接では何度も「全国転勤は大丈夫ですか?」と聞かれたけれど、3度の飯より内定が欲しかった僕に拒否権は無かった。

「陸路で埼玉に帰れる範囲」
この表現が命取りだった。知床だろうが稚内だろうが北海道は隅々まで埼玉と陸路で繋がっている。ニュアンスを汲み取ってくれるほど人事部は甘くなかった。

あれから4年が経った。2022年。北海道は遠距離恋愛の舞台から、新婚生活の舞台へと変わった。試される大地で僕は覚悟を試される側になった。

遠距離恋愛。転勤。

グローバル社会を生きる現代人の悩みトップ2(独断と偏見)。この2つを20代前半で味わえたことは「人間冥利」に尽きる。

「経験者は語る」これが1番頼もしい。
嫌なことを味わえば味わうほど、誰かを救う言葉が手に入る。どんなに辛くても、それならいいやと思えそうだ。

結婚。

大切なものが増えてしまったことも「人間冥利」に尽きる。自分のためだけに何かを選ぶことが、もう2度とできないかもしれないということ。とても嬉しく思う。

2022年。26歳の僕が知る限り、1番良いニュースが少なかった1年。

なんとか乗り越えた。これからどう生きようかな。

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