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読書と映画の感想文

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読んだ本の感想です。
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記事一覧

白仏を読んだ。

もし辻仁成の作品で「冷静と情熱の間」しか読んだことがないのならそれは本当に辻作品を読んだ…

ちいさな島
1か月前
5

反核映画「オッペンハイマー」を観た。

映画オッペンハイマーは反核映画であった。 同時にオッペンハイマーは女たらしだった。映画全…

ちいさな島
1か月前
27

読むのが大変な小説「灯台へ」を読んだ。

ヴァージニア・ウルフの「灯台へ」は読んだことがなくてもそのタイトルは知っていた。どこで知…

ちいさな島
1か月前
11

パーフェクトデイズを観た。

以前から観たいと思っていたパーフェクトデイズがアマプラで観られるようになったので早速観た…

ちいさな島
1か月前
33

真鶴出版の「小さな泊まれる出版社」を読んだ。

神奈川県を東京から海沿いにずっといく。そしてあともう少しで静岡県というところに真鶴町があ…

ちいさな島
2か月前
27

道草書店店主の自伝「明るい水」を買って読む。

神奈川県がほとんど静岡県と接するところに真鶴半島という小さな半島がある。そこに町があって…

ちいさな島
2か月前
22

今頃だけどルックバックを観た。

劇場で公開中noteでも多くの感想文を目にしたルックバックを観た。今月からアマプラで観られるようになったのだ。 たらればを夢想する藤野であるが、それがアニメだろうと結局は夢想の域をでることはなかった。人生において選択における分岐点は無限に存在する。今この一瞬一瞬でもひとは何某かの選択をして、その都度世界は分岐する。ただそのひとつだけをなかったことにしたからといって、すべてが丸く収まるわけではない。 藤野は自分が京本を誘わなければという未来を夢想するが、それはあまりに自己中

やっと読み終えた。楽園への道

「楽園への道」 マリオ・バルガス=リョサ なんだかんだで読み終えるまで半年以上かかってしま…

ちいさな島
3か月前
8

知られざる焼き物の世界。紺青の鈴

紺青の鈴 高橋治 著   紺青の鈴という小説を読んだ。 これを読んだには理由がある。石川の銘…

ちいさな島
3か月前
21

読みつがれる名著「せむしの子馬」

ぼくがものごころがついた頃すでにせむしの子馬は家にあった。 繰り返し繰り返し読んで、一生…

ちいさな島
4か月前
13

新規事業家必読の書。よろずや平四郎活人剣 藤沢周平著

神奈平四郎は武家の出だが妾腹の子で冷や飯食いである。家に居場所がないので浪人となって知人…

ちいさな島
4か月前
5

斜め上をいったスターウォーズ:アコライト

アコライトを観た。 ぼくのようなスターウォーズおたくが求めるスターウォーズ像から180度外れ…

ちいさな島
6か月前
8

「武蔵野」 国木田独歩

武蔵野の地に住むものとして、国木田独歩の武蔵野を読まずにはいられない。 武蔵野は武蔵野丘…

ちいさな島
8か月前
9

ぼくは本を壁に投げつけた。"NEVER LET ME GO"

もともと映画を見たのが先である。Youtubeで予告編を観て不思議な雰囲気のSF作品という印象を受けた。それから劇場で映画を観て、大変不愉快な気分になって原作も読んでやろうという気になった。二十年近く前のことであった。   ぼくにはめずらしくあらすじをすこし書いておく。 そう遠くない未来。ある寄宿舎付きの学校では特別な子どもたちだけが集められていた。学校で彼らは厳粛に管理され、良好な健康状態を維持している。ときどきクラスの誰かがいなくなって教室がざわついた。彼らは全員クロー