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読書と映画の感想文

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読んだ本の感想です。
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記事一覧

知られざる焼き物の世界。紺青の鈴

紺青の鈴 高橋治 著   紺青の鈴という小説を読んだ。 これを読んだには理由がある。石川の銘…

ちいさな島
3週間前
21

読みつがれる名著「せむしの子馬」

ぼくがものごころがついた頃すでにせむしの子馬は家にあった。 繰り返し繰り返し読んで、一生…

ちいさな島
1か月前
11

新規事業家必読の書。よろずや平四郎活人剣 藤沢周平著

神奈平四郎は武家の出だが妾腹の子で冷や飯食いである。家に居場所がないので浪人となって知人…

ちいさな島
1か月前
5

斜め上をいったスターウォーズ:アコライト

アコライトを観た。 ぼくのようなスターウォーズおたくが求めるスターウォーズ像から180度外れ…

ちいさな島
3か月前
8

「武蔵野」 国木田独歩

武蔵野の地に住むものとして、国木田独歩の武蔵野を読まずにはいられない。 武蔵野は武蔵野丘…

ちいさな島
4か月前
9

ぼくは本を壁に投げつけた。"NEVER LET ME GO"

もともと映画を見たのが先である。Youtubeで予告編を観て不思議な雰囲気のSF作品という印象を…

ちいさな島
7か月前
7

勘違い甚だしいのが腹ただしい「それから」

「それから」はこれも二十年以上前に読んではみたものの暗くて途中で投げ出したままにしていた。それを今になってもう一度手にとって見て、夏目漱石というひとはあまり明るいひとではなかったのだろうと思った。 坊っちゃんも決して明るい内容ではなく、どちらかと言えば暗い本であったが、それからは尚暗い。暗いというか、主人公の代助は無気力さとそこへ屁理屈をつけて自分こそが高尚だと信じて疑わない姿勢はまるで小学生のように拙い。   親兄弟がなんやかやと世話してやるが、結局のところそのように甘や

胸糞悪い小説「坊っちゃん」

立て続けに日本の古典ばかり読んでいる。この本も20年くらい前に読んだはずだが中身をまるで覚…

ちいさな島
7か月前
14

最後まで読みましたか?「雪国」

雪国を最初に読んだのは2000年始めのことだからもう20年も昔のことである。そして内容はまるで…

ちいさな島
7か月前
13

めったにない凄い小説「荒涼館」

チャールズ・ディケンズの小説はどれもデイヴィッド・コッパーフィールド的と言えるようなもの…

ちいさな島
7か月前
11

欲望の果てに得るものなし「遺産相続ゲーム」

ミヒャエル・エンデの戯曲である。 劇の評価は散々だったらしい。エンデと言えば「ネバーエン…

ちいさな島
7か月前
3

あなたは本当の余暇を知っているか?「アダム・ビード」

上下二段組。本の厚みは三センチある。細かい文字がびっちりとページを埋め尽くす。ぼくはこう…

ちいさな島
7か月前
6

何度も読むよ。「夢の木坂分岐点」

著者の筒井康隆はぼくの好きな作家の筆頭である。中学生の頃作品に出会って図書館で貪るように…

ちいさな島
7か月前
16

どこまでも透明な「銀河鉄道の夜」

何度も読み返したい本というのがある。そして小説の場合は短編であることが多い。なぜ長編を何遍も読み返さないのかといえば、小説を読む行為というのは大きなエネルギーが必要だからだろう。   ぼくにとって読み返したくなる本に宮沢賢治の著作がある。 あの、独特の空気感に触れたいときというのがたまにやってくるのだ。 宮沢賢治の作品は数は少ないながらもどれも名作である。なかでも銀河鉄道の夜が最高傑作と認めるのはぼくだけではないだろう。そんな名作でありながら実は読んだことがないというひとも案