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塔の魔導師 free

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「君には魔導師の才能がある。」 奴隷階級の少年リンは、旅の魔導師ユインからそう告げられる。 その日からリンの魔導師を目指す旅が始まった。リンはユインに連れられて魔導師の街グィンガ…
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#長編小説

【祝】『塔の魔導師』が書籍化します!

【祝】『塔の魔導師』が書籍化します!

読者の皆様、いつもお世話になっております。

皆様からいただいている、スキやコメント、そしてサポート大変励みになっております。

さて、この度noteで連載中の小説『塔の魔導師』がTOブックス様より書籍化することになりました。

きっかけは小説投稿サイト『小説家になろう』において篠裏知螺さんからレビューをいただいたことでした。

レビューのおかげで『小説家になろう』のハイファンタジー部門でランクイ

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第110話「天才」

第110話「天才」

前回、第109話「威力偵察」

各話リスト

 艦隊の季節。

 塔に所属する飛行船が帰ってくる。

 飛行船の中では塔に帰還できることを喜び、興奮を抑え切れない者は少しでも早く塔の全景を見ようと甲板に出ていた。

 その中に学院魔導士が着るはずの紅のローブを着ている少年がいた。

 長髪にがっしりとした体つきの少年で魔導士にも関わらず大剣を腰に下げていた。

「4年ぶりくらいか。あんま変わってね

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第109話「威力偵察」

第109話「威力偵察」

前回、第108話「エルフと魔の泉」

各話リスト

 演習場。

 リンはアイシャの指導の下、グリフォンを操っていた。

「そのまま高度を保って。そう。いいぞ」

 リンはグリフォンの手綱を操りながら一定のスピードを保って演習場を飛び回る。

「ハイ、そこまで。降りてきなさい」

 アイシャが言うとリンはグリフォンに着地を命令した。

「グリフォン。着地だ」

 グリフォンは少し名残惜しそうにしな

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第104話「不安な誘い」

第104話「不安な誘い」

前回、第103話「事後処理」

各話リスト

 レンリルの紡績工場。

 ここでは魔法が使えない者、塔においては奴隷階級の者でもまかなえる仕事が数多くあった。

 フローラもここで働く奴隷の一人である。

 彼女は先ほどからせっせと手を動かして働いていた。

 しかし仕事は山のようにあっていつまでも終わらない。

 機械は容赦なくフローラの仕事を増やしていく。

 この分だと今日も彼女は規定量の仕

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第103話「事後処理」

第103話「事後処理」

前回、第102話「夜襲」

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 クルーガがナウゼとラディアに落とし前をつけさせると言ったのは本当だった。

 彼は二人の犯行についてあるがまま協会に報告した。

 その上で二人が反省していること、それに免じて寛大な処置を望んでいることを伝えた。

 事が事だけに協会は事態を重く見て、すぐに審議が開かれた。

 二人は裁定が下されるまで自宅謹慎を命じられる。

 まだ試合を控えているラデ

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第102話「夜襲」

第102話「夜襲」

前回、第101話「貴族の誇り」

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 ナウゼは医務室で目を覚ました。

 見舞いに来ていたラディアは驚く。

「ナウゼ!? 起きたのか。2、3日は意識が戻らないと思っていたが……」

(さすがの回復力だな)

 ラディアはいつもながらナウゼの回復力に舌を巻いた。

 完全にへし折れたはずの腕も、薬による効果もあるとはいえ、既にギプスを外して回せるようになっていた。

「ラディア。俺は…

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第101話「貴族の誇り」

第101話「貴族の誇り」

前回、第100話「閃き」

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 闘技場から水が引いていく。

 リンは足元で砕け散っている『リドレの魔石』を顧みる。

(ザイーニ……守ってくれたんだね)

 リンは魔石の欠片を拾い上げる。

「おかげで勝つことができたよ」

 全ての水を吐き出した魔石は、役目を終えたかのように輝きを失って消える。

「まだだ。まだ俺は杖を手放してはいない」

 声の方を振り返るとナウゼが立ち上がって

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第100話「閃き」

第100話「閃き」

前回、第99話「野戦築城魔法」

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 リンがナウゼの砲撃にさらされたのを見てイリーウィアの陣営は騒然としていた。

「イリーウィア様。イリーウィア様。リンが……、リンが吹き飛ばされて砲弾の雨の中に……。ああ……どうしよう」

 ユヴェンがすっかりうろたえきってイリーウィアに話しかける。

「おいおい。無茶苦茶な威力だな。審判はなぜ止めない。もう勝負ありでいいだろう」

 ヘルドが表向き

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第99話「野戦築城魔法」

第99話「野戦築城魔法」

前回、第98話「奇襲」

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(やったか?)

 リンは杖の先に手応えを感じて、今しがた叩きつけたナウゼの方を見る。

 ナウゼはリンの杖が届く寸前、顔面を両腕で保護していた。

 リンは自分の攻撃が思った場所に当たらなかったことに気づいたが、それでも有効打を与えられたことに違いはなかった。

 トドメを刺すべくもう一度杖を振りかぶる。

 しかしそれより先にナウゼが杖で地面を、『位相魔

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第98話「奇襲」

第98話「奇襲」

前回、第97話「深刻なこと」

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(間に合ったか)

 エミルはリンとナウゼの試合が今まさに開始されるというところで会場にたどり着くことができた。

(もう依頼分の報酬は貰ったし、わざわざ足を運ぶこともないが、まあ何かの縁だしな。最後まで付き合うとしよう)

 エミルは空いている席を探して観客席を歩き回ったが、すでにどこも一杯になっていた。

 皆、新たに塔に訪れたスピルナの上級貴族が

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第97話「深刻なこと」

第97話「深刻なこと」

前回、第96話「勝者の精神」

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 魔導競技当日。

 リンは前日に交わしたエミルとのやりとりを思い出しながら会場への道を歩いていた。

「いよいよ明日、リンはナウゼと試合ね」

「はい」

「大丈夫?」

「えっ?」

「あいつら、スピルナの連中は気にくわないところもあるけれど勇猛さは本物よ。仮にあんたがナウゼを追い詰める寸前まで行ったとしましょう。でもあいつらは杖を失っても実剣で戦

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第96話「勝者の精神」

第96話「勝者の精神」

前回、第95話「新しい師匠」

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 演習場でエミルの声が響き渡る。

「違う。何度言ったらわかるんだ」

「くっ」

 リンは悔しそうに呻きながら立ち上がる。

 体のいたるところには擦り傷ができて、肩で息をし、足もふらついている。

 杖を頼りにかろうじて立つことができている状態だった。

 演習場の脇には魔法の靴が何足も転がっている。

 衝撃に強いはずの魔法の靴だが、いずれも履き

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第95話「新しい師匠」

第95話「新しい師匠」

前回、第94話「反乱の鎮圧」

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 リンは魔導競技用に借りた演習場で、緊張しながらこれから訪れる人物を待っていた。

 もうすぐ新しい師匠が来る手筈になっていた。

 新しい師匠を雇おうというのはテオからの提案だった。

「新しい師匠?」

 リンは今し方テオの言ったことをそのまま聞き返した。

「ああ。もういい加減俺らも自分で師匠を雇おうぜ。今の師匠とかクソの役にも立たねーしよ 」

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第93話「スピルナの価値観」

第93話「スピルナの価値観」

前回、第92話「アディンナの危機」

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 学院の教室内でラディアットは手当たり次第生徒達にガンを飛ばしていた。

 まるで目を合わせればその人間の考え方、それもスピルナとアディンナの戦争についてどう思っているかわかるとでも言うように。

 一人の生徒が教室から出て行く。

 リンだった。

 ラディアはリンを睨みつけるが、リンは気づいてないフリをして通り過ぎる。

 ラディアはリンの曖

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