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カンボジアで教えるということ

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カンボジアでの美術教育やデザイナーを育てる仕事で得た知見を元にした教育論(?)
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#VisualThinkingStrategies

Developing Creative Thinking 2

Developing Creative Thinking 2

先日、プノンペンのPhilosophy Cafe Cambodiaにて「Developing Creative Thinking with VTS」の第2回目のワークショップを行った。

今回は、事前告知が一週間を切ってたのでカンボジア人2名+日本人1名の3人しか集まらなかったが、十分だろう。

最初に、「観察力の開発」というワークショップの趣旨と、なぜそれがクリエイティブ思考に重要なのかを入念に

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なぜカンボジアでVTSを始めたのか?3

なぜカンボジアでVTSを始めたのか?3

VTSを始めてみたい買った書籍はコレ。

VTSはアメリカのMoMA(ニューヨーク近代美術館)で美術鑑賞教育プログラムとして始まったのだけど、その開発者が書いた本で、アメリカでのVTSの進め方などが書いてある。

これをもってすれば、美術の時間という枠内でもカンボジアの生徒に観察力をつける授業ができるのではないだろうか?
幸い、専門学校のフルタイムのコースでは、週一3時間弱の時間を受け持っているの

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なぜカンボジアでVTSを始めたのか?2

なぜカンボジアでVTSを始めたのか?2

どうやって概念を伝えられるかそもそも絵を習いに来る子たちの目的はなにか?

「上手い絵」を描けるようになりたいからである。

では「上手い絵」ってなんだろう。
それは人によって違うが絵を習う動機としては、写実的なかっこいい絵を描きたい、というのがほとんどだろう。
もちろん、カンボジアの生徒たちも大体そういう理由だ。「写真みたいな」絵を描けたらカッコいいと。

それはいい。

しかし、かっこいい写真

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なぜカンボジアでVTSを始めたのか?1

なぜカンボジアでVTSを始めたのか?1

そもそもなんでカンボジアに来たのか?もともと自分は、日本でフリーランスでウェブデザイナーとして仕事をしていたのだが、2011年頃、日本が東日本大震災によって暗くなっていた時期は自分も仕事に面白みを感じることがなくなっていた。
そんな時にひょんなことから、仕事をいただいていたデザイナーの方から、ある会社がカンボジアでグラフィックデザインの会社を立ち上げたいので、デザインを教える人材を探しているという

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観察力をつけるためのVTS

観察力をつけるためのVTS

前回の投稿では、VTSが有効と書いた。

しかし、実際はVTSは教師生徒ともに母国語で行うのが望ましい。
なぜなら、生徒が発言したことに対し、 先生が同じ内容を別の表現で聞き返す必要があるからだ。
この聞き返すという行為が行われて初めて、発言者は自分の考えが相手に伝わったことを理解できるので、とても重要だ。

しかし、当地においては、教師(私)も生徒たちも、コミュニケーションはカタコトの英語で行わ

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