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📚38【みどりのトカゲとあかいながしかく】と平和を考える 867

※ヘッダー画像は表紙部分です
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みどりのトカゲとあかいながしかく

スティーブ•アントニー 作•絵

(英国に生まれ、アメリカ合衆国ニューメキシコ州で育つ。英国スウィンドン在住。7才のときに色覚異常が判る。英国のサイレンセスター大学とスウィンドン大学で美術を学ぶ。就職した仕事を辞めアングリラ•ラスキン大学修士課程に進学し子どもの本のイラストレーションを学ぶ。デビュー作『女王さまのぼうし』(評論社)はオスカー•ファーストブック賞受賞)

吉上恭太 訳

(1957年東京生まれ。週刊誌•児童書の編集者を経て翻訳•編集•小説の執筆など)
徳間書店
2016/7/31初版


8月の図書館には、平和をテーマにしたコーナーが設えられる。
この絵本も、子ども向けのそうしたコーナーの1冊。
27cm×27cmの大きさと真四角のフォルム、黄緑色と赤色の対比に目を惹かれた。

近づいて手に取ると、黄緑色のそれは数え切れないほどの(ちょっと受け口の)トカゲと目、目、目。
そして大きさも向きも様々なたくさんの赤いながしかく。

表紙を捲る。
ああ、これはみどりのトカゲとあかいながしかくの戦いの絵本なんだ。


中身も読んでいないのに、ズルをして裏表紙も捲ってみる。
そこには整然と並んだあかいながしかくにキスをする、傷ついたみどりのトカゲがいた。
これは連れて帰らねば……


トカゲが可愛い。
大きいの小さいの、尻尾が長いの短いのカールしてるの、大きな目小さな目とじてる目、やんちゃそうなの大人しそうなの眠ってるの……

ながしかくも可愛い。
太いの細いの、長いの短いの、大きいの小さいのうんと大きいの、強そうなの弱そうなの……

どうして戦い始めたんだろう?
どうして戦い続けているんだろう?
倒されてるのに?
ぺしゃんこに潰されてるのに?



強くても
弱くても
疲れ果ててるのに?
うんざりしてるのに?
一体誰のためなんだろう?
一体誰が得をするんだろう?

みどりのトカゲは戦いをやめたかった。
あかいながしかくも戦いをやめたかった。
戦いをやめるために、あることをしたんだ。
みどりのトカゲもあかいながしかくも、一所懸命にしたんだ。

それは「話し合い」。



そしてあることを決めたんだ。
それは素晴らしく良いことなんだ。
ほら最後のページの表情を観て‼︎



一緒懸命に話し合ったから、もう戦う必要なんかないんだ。
もし争いの芽が出そうになっても、もう知ってるんだ。

みどりのトカゲもあかいながしかくも、知ってるんだ。



一緒懸命に話し合えば良いってこと。
あることを決めれば、争う必要なんかないってこと。

みどりのトカゲにもあかいながしかくにも解ることなのに、どうして人間には解らないの?



争えば得をする人がいるんだね?
争いが好きで好きで堪らない人がいるんだね?
戦いをやめようなんて、思いつきもしないんだね?

出てくるのは、どのページにもみどりのトカゲとあかいながしかくだけ。
オマケにあかいながしかくには、目も鼻も口もない。
手も脚もない。
でも暴れる、滅茶苦茶に暴れる。
それはそれは見事なまでの大乱闘。

凄い。
無機質にも見える……てか無機質じゃん、あかいしかくって。
でも戦うし、話し合うし、最後は○っしょに、○かよく、○らし、みどりのトカゲに笑顔をもたらす。
いや、最後のページだって無機質なのに‼︎

絵本の大きさや形も存分に活かされている。
絵本の力を感じる。
とっても饒舌な絵本。
きっとお気に入りのみどりのトカゲやあかいながしかくが見つかると思う。

時間潰しをしたい方は、みどりのトカゲを数えてみて。
何匹いたか教えてもらえると嬉しい。
きっとお気に入りの1冊になるに違いない。
これを手に取った私は、かなりセンスが良い。

ネット書店はとっても便利。
Amazonのリンクだって貼ってるしね。
でもねリアル書店や図書館には、(ネットにはない)こんなに素敵な出会いがあるんだよ。







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