はっさく大福、どうせならシュークリームも一緒に
ー この組み合わせ、どうやったら思いつくの?? ー
秋晴れが続く11月のある日。
・・・
私は愛媛県・今治から広島県・尾道まで続くしまなみ海道を友達と自転車で旅していた。
テーマはいつものごとく「グルメ旅」
(逆にそれ以外の旅って楽しいんですか?って思っちゃう人間。もっと他者理解していきたいところだよね。)
朝は宿の朝食から始まった。
一夜干しされた白身魚が二枚も。
朝から魚とか、クレヨンしんちゃんの野原ひろしくらいしか見たことがない。
(ひろし、意外とQOL高いんだな、、。)
スタミナをつけたらいそいそと宿を出た。
出発するときに宿のおばちゃんに栄養ドリンクと黒飴とつまようじをもらった。
つまようじ、「何かと便利でしょ」と言って渡された。
(普段だったら「つ、つまようじ!?いらな、、」って思っていたはずなんだけど、このときワケあって喉から手が出るほどつまようじが欲しかった私たちはものすごく喜んだ。)
(おばちゃんなんで知ってたの?)
出発した。
下り坂の冷たい風が心地いい。
(途中で野犬の群れを初めて見た。野良犬ではなく野犬、って感じのめっちゃ怖いやつ)
よく晴れた秋の朝ほど清々しいものもない。
橋のふもとに着いたら小休憩。
昨日の宿でもらった大三島名物のおまんじゅうを食べる。
朝食を食べてから2時間が経っていた。小腹が空いていた。
この旅行の一番の学びは、「エネルギーを補給すると上り坂がたちまち楽になる。」ということだった。
本当に即効なのだ。
しまなみサイクリングといえば多くの急勾配に悩まされることなのだが、不思議と何かを食べた直後はぐんぐん漕げるのだ。
こんなことを知ってしまったら、そりゃあ食べるしかないよね〜〜!といういい学び。
そしてぐんぐん漕ぐ。
山をいくつも超え、橋をいくつも超えた。
やっとのことで本日最初の楽しみ、因島名物のはっさく大福のお店に到着した。
ショーケースの中でひんやりと冷やされていたはっさく大福(¥180)をいただく。
求肥に包まれていたのは白あんとおっきなはっさく。
ほぼはっさく。
プチプチのはっさくが身体中に沁み渡った。
ものの数分で完食。
そして私たちは思った。
「ものたりない」と。
ここまで頑張ってきた自分たちへの対価が足りないのだ。
そこで、お店の中にもう一度入って店内を見渡すことにした。
ショーケースの上に、うず高い山が3つそびえ立っている。
さっきはっさく大福を買ったときから実は気になっていたシュークリームの山だった。
「パイシュー」「クッキーシュー」「シュークリーム」(¥180)
「注文を受けてからクリームをおつめ致します」
とんでもなくおいしそう。そして安い。
ここ和菓子屋さんじゃないの??
なんでシュークリーム始めようと思ったの??
しかも3種類もなんで!?
和菓子の後には洋菓子が食べたくなるという現象に最初から気づいていらっしゃったのだろうか?
お店の外にはシュークリームのシュの字も書いていない。
中に入った人にしかわからないメニュー。
シュークリームなんてはっさく大福に比べたらどこにでもあるお菓子なんだけど、ここのはなんか特別な気がした。
食べないと後で後悔するよ、と誰かに言われた気がした。
そして衝動のままにクッキーシューを注文した。
「大きいシュー選びますね、クリームもたっぷりつめておきますね。」
とおっしゃられた。
(それだけでもうおいしいって確信するよね。)
赤ちゃんの手4つ分くらいあるジャンボなクッキーシュー。
(例えがわかりづらい。)
どこから食べ始めようか考えるだけで1分くらいかかった気がする。
こういうのははじめが肝心だから。
そして普通に尖ってる場所から食べ始めた。
ざっくざく。
ひやっとろ。
ざっくざっく。
とーろとろ。
(しばらくリピート再生)
あらかじめクリームをつめていない理由がなんとなくわかった気がする。
(実はあんまりわかっていない。)
カスタードと生クリームを混ぜたクリームがとろ〜〜っと身体中に行き渡って、たちまち幸せに埋め尽くされる。
これを太陽の下で自転車に寄りかかりながら立って食べているのがまたいいんだと思う。
お家の中でお皿に移してフォークとナイフでお上品に食べるよりずっとおいしいはずだ。
(シュークリームのおいしさは、「こぼしちゃいけない」というスリルによって一層掻き立てられるものだと思う。)
食べ終わった私たちは、身体中にエネルギーが補給されただけでなく、心の中までたぷたぷの幸せで満たされた。
満たされるって感覚が好きだ。
「あっ、今満タンになった。」っていう瞬間がすぐわかる。
今回の場合、はっさく大福もクッキーシューも両方食べなきゃ満たされていなかった。
そしてこの組み合わせじゃないと満たされていなかったとも思う。
絶妙なコンビネーション。
理想の結婚相手だね。(??)
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