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星を見たことある? 首振る彼にそっと握らせた。 二人だけの秘密だよ。 タイムトラベルのルー…
天の川を行く列車は嫌いよと彼女が言った。 大切なものをなくす悲しみに耐えられないわ。 そう…
星型の花? 違うよ。 花はずっと前からあった。 そして僕らが光に形を与えた。 だから星が花の…
小さな瓶に詰めた庭を彼がくれた。 好きな時に来て、好きなだけ過ごせばいい。 この庭の主人は…
丁寧に紅茶を淹れる。 もう直ぐ扉を開ける人のために。 街の香りを纏ったままの彼は 海からの…
招き入れられたのはせせらぎ心地よいテラス。 葡萄の木陰で二人グラスを傾ける。 木漏れ日の揺…
ものすごい勢いで 走り出した列車に僕は乗っていた。 轟々と唸る風、 原形をとどめない景色が千切れ飛ぶ。 目的地がどこなのかわからないけれど、 行くしかないのだと思った。 そこに答えがあるのだと。 欲しいものがあるのだと。 生き急ぐ? いや、命の速度はそれぞれで、 決して一つの時計では測れないだけだ。
時が瞬き揺らめく巨木内。 僕らの学び舎。 そこではあらゆる日々が再現される。 けれど教授は…
水晶に侵食されていく町。 見上げる私に店主は言う。 あれは想いさ。 強ければ強いほど育ち輝…
気がつけば森にいた。 紅葉する木々の中、 僕を見つめる大鹿の角には 真っ赤に熟れた秋の実。 …
全てが眠りにつく中、 僕は一人湖に漕ぎ出す。 暗闇に慣れきった世界の中で 美しいものを垣間…
星が降る、満天の星が。 誰と見たのかどこで見たのか、 曖昧な記憶の中に、けれど確かなもの…
待ち合わせは誰そ彼時。 今日を最後に別れゆく人。 紫紺の闇は一層深く、 もう顔を見ることも…