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【140字/空想】僕と大鹿と、色づく森にて

気がつけば森にいた。
紅葉する木々の中、
僕を見つめる大鹿の角には
真っ赤に熟れた秋の実。

おかえり、坊や、好きな花も咲かせようか

甘く香る純白の花びらが揺れた。
足元の湿った苔は春の匂いを閉じ込めたまま。

いつだって望むままだよ
ありえないと決めつけているだけで

心の中にあの日と同じ泉が湧いた。

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