見出し画像

本日の読書

誰かがこの町で」佐野広実(著)

音楽(楽曲)は、11しかない音階(半音含め)の
組み合わせ(プラスリズムパターン)なので、大概の曲は
「いつかどこかで聞いた」ような曲になるのは仕方ない。
今のポピュラーミュージックは、それまで3コードを中心に
組み立てられていたアメリカのロックンロールやブルースを
ビートルズによって、マイナーコードや多様なコード進行を用い、
確率されたものの延長といって過言ではないと思う。
で、ビートルズ誕生から、すでに60年が経っており、
世界中でありとあらゆる音楽が生み出されてきた訳なので、
「完全なオリジナル」というのは存在し得ないと思う。

文学(小説)に関してもそれは同じことで、大概の小説は、
「いつかどこかで読んだ」ような物語だ。
僕は10代の頃から、かなりの読書家だったと自負しており、
今も、部屋は本で埋もれている。
金のない時代が長かったし、読みやすさもあって、文庫本を
買うことが多く、本を選ぶ時は、裏表紙に書かれている
小説の概要文の中に「傑作」と書いているものを買えば、
大体、間違いはなかった。

しかし15年くらい前からだろうか。
書店のポップに手書き風の推薦文が飾られていたり、
本の帯の推薦文は、著名人が2行くらいずつ、4.5人分
載せられていたり、出版社の推薦文も大仰になって、
それを鵜呑みに買って大失敗するということが増えた。
それだけ本が売れてない証左なのだろう。
売る方も必死なのだと思う。

ではどうするか?
amazon等のレビューを参考にするのもありだが、
僕は、装丁で選ぶことが多く、これは失敗が少ない。
平積みの本を見ていると、パッと目につく本があり、
その装丁は自分の好みだったりする。
で、買って読むのだが、概ね満足することが多い。

前置きが長くなったけど、「誰かがこの町で」も
装丁で買った(昔のレコードのジャケ買いと同じ)

感想は、う〜む……といった感じ٩( ᐛ )و
とても読み易く、内容もそれなりに練られてはいたけど、
上記した通り、「いつかどこかで読んだ感」に溢れており、
このパターン、この素材を、こう組み立てれば、こういう
物語になりました的な、「例題作」みたく感じた。
これだったら、今の時代、AIでも創作出来るのではないだろうか。

郊外のニュータウン、誘拐、家族、探偵(正確には弁護士事務所の
調査員)、同調圧力、監視社会、ご近所トラブル……..etc

僕には星3つ半くらいの印象だった。

今のこの時代、音楽も小説も「飽和化」しているので、
本当に面白いもの、本当に感動する音楽を探すのは
困難を極める。
100点をとり辛いから、80点くらいを目指すような
音楽、小説が多い。
なので、読む側も、ベストではなくベターを求めて
購入するしかない。

なので、音楽を聞いた期間が短く、あまり本を読んでない人が
羨ましい気がする。
彼ら彼女らにとっては、世の中はまだまだ「宝物」に
満ちているのだから。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集