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散文

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思い出や生活の中で感じたことを中心にした徒然なる書き物達です。
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2023年1月の記事一覧

ごめんね

ごめんね

誕生日にくれたブレスレット
ごめんね
喧嘩して壊したね

サプライズで連れて行ってくれた夕日の丘
ごめんね
その映画見たことないんだ

隣で寝ていたあなたの眼鏡
ごめんね
ティッシュで拭いたらコーティングが剥げて
そのあと寝ぼけて踏んづけたっけ

部屋の真ん中でゴミ箱を抱えて
「緑膿菌が…」と言いながら嗚咽してたあなた
ごめんね
何じゃそりゃって思ったよ

これを言ったら傷つくって
とどめさすこと

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矛盾

矛盾

人を好きになった時の自分が嫌いだから
人を好きになるのが怖い

結局自分しか好きになれないのだろう

欲求

欲求

今猛烈に本屋に行きたい
いくつかの本を読み漁りたい
人間を知りたい
人間とは何か
なぜ生まれてきたのか
なぜ生きるのか

あの人から少しだけ
ヒントをもらえた気がしたんだ
今なら出会えそうな気がするんだよ
それが空振りでもいい
答えなんて出なくていい
それも答え合わせの一部だから

早く早く
夜が明けてくれよ
今すぐ本屋に駆け込みたいんだ

知りたい
人間を
そして自分を

Waltzにのせた回想

Waltzにのせた回想

早く 大人に なりたくて
生意気にも 無関心を 装ってきた

実際 大人を 続けてるけれど
なんとなく うまく 笑ってるだけ

考えすぎって 言うけれど
考えなくても わかるものなの?
わがままとか つまらないとか 真面目とか
何も知らないのに 決めたがる

自分だけが ずっと 取り残されたようで
言葉にしたら つまずいて
時々ふっとよぎる思いを つかまえて
月夜に 溶かして 飲み込んで
覚束ない

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好きな時間

好きな時間

夕焼けの後の空が七色に見える時
息を吸う度に夜が近づいて来る

この時間が好きです。

行き場のない話

行き場のない話

hihihiと笑いながら生きることを説いてくれる死神の話を読んで、こんな死神なら会ってみてもいいかもと思った次の日の話。

その夜、灯りを消して布団に入り目を閉じた。

しばらくするとふと目が覚めた。
暗がりの中にぼーっと浮かぶ人影が見えた。
よく目を凝らすと黒いフード付きのマントのような服を着て、大きな鎌をそばに置いた人が浮かんでいた。

「お前が会いたいって言うから来てやった。」

あぁ、死神

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変わらない音 変わりゆく音

変わらない音 変わりゆく音

大晦日の夜、仕事を終えて実家へと帰った。
今年は久しぶりに姉家族と、
結婚したばかりの弟夫婦、私、
そして両親が集う賑やかな大晦日となった。

縦横無尽に飛び交う会話、
座椅子に座り居眠りをする父のいびき、
食器の音、テレビの音、笑い声
そこには昔と変わらない音があった。

年が明けて、翌日の早朝。
部屋で1人眠る私の耳に聞こえてきたのは
階段を降りる母の足音だった。

何気なく昔から聞こえていた

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月夜に恩返しを

月夜に恩返しを

彼は1人の人間なのに
たくさんの彼がいるように感じる

普段は感情を抑え落ち着いてみえる彼だが
彼の紡ぐ言葉には不器用なくらい
感情が表れて見える気がしている

だから彼の話し方や書く文章は
実際に彼の顔を見ていなくても
顔を見ているような安心感がある

だから彼の嬉しい話や好きな話は
自分も嬉しくなるし好きになる
彼の怒りが現れる話は
怖さや強さを感じるし
苦しみから生まれる話は
自分も抉られる

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光

最近は特に陽の光が眩しすぎる
目の奥を貫いていくような光に
思わず顔を歪め目を閉じる

でも何故だろう
夕焼けはずっと眺めていられるんだ
瞳の奥に溶けていく
夜に馴染んでゆく
ゆっくり
ゆっくり
ゆっくり