月夜に恩返しを
彼は1人の人間なのに
たくさんの彼がいるように感じる
普段は感情を抑え落ち着いてみえる彼だが
彼の紡ぐ言葉には不器用なくらい
感情が表れて見える気がしている
だから彼の話し方や書く文章は
実際に彼の顔を見ていなくても
顔を見ているような安心感がある
だから彼の嬉しい話や好きな話は
自分も嬉しくなるし好きになる
彼の怒りが現れる話は
怖さや強さを感じるし
苦しみから生まれる話は
自分も抉られるように苦しくて
守りたくなる
彼という人間はとても豊かだと思った
一方の私は言葉が無表情
のっぺらぼうな私の言葉
唯一少しだけ自信のあった
歌を歌うときもそうだと
誰かに言われたこともあったっけ
感情が見えてこないのだそう
私には私がいない
そうずっと思っていた
昔からそれで生きてきてしまったから
正直どうすればいいのかわからない
言霊はある
感情もある
ずっと考えている
でも伝え方がわからない
いろんな感情を置き去りにして
諦めてしまっているみたい
わからないことだらけ
彼の発信するものを
受け取りにいくようになってから
彼を通して自分について考える時間が増えた
もっと自分を知りたいと
思うようになった
もう少しだけ自分を
かわいがってみようと思った
感謝しかない
今はもらってばかり
お返しできる日が来るだろうか
いつか会えたなら