変わらない音 変わりゆく音
大晦日の夜、仕事を終えて実家へと帰った。
今年は久しぶりに姉家族と、
結婚したばかりの弟夫婦、私、
そして両親が集う賑やかな大晦日となった。
縦横無尽に飛び交う会話、
座椅子に座り居眠りをする父のいびき、
食器の音、テレビの音、笑い声
そこには昔と変わらない音があった。
年が明けて、翌日の早朝。
部屋で1人眠る私の耳に聞こえてきたのは
階段を降りる母の足音だった。
何気なく昔から聞こえていた足音だったが
昔とは違い、階段を一段ずつ踏みしめるように
ゆっくり、ゆっくりと降りていく母の足音。
知らない間に母は
こんなにも年老いていたのだと思った。
母が用意してくれていた暖かい布団に包まって
その足音が消えるまで耳を澄ました。