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幻の花~短編漫画『冬のひまわり』~
「分からないから、ロマンがあって良いのだ。何もかも知ろうとするのは悪いクセだ。」
死因の特定のため、ミイラの貸し出しを依頼した考古学者に、エジプト人が言ったと言う。もちろん、ミイラの貸し出しは見送られたそうだ。
その話を聞いて思い出した短編漫画『冬のひまわり』。名作『ガラスの仮面』で有名な漫画家の作品。
これは、主人公の少女ニコラが、偶然、古い肖像画『マリオンの絵』に描かれた少年の背後に、雪の中に咲くひまわりを見つけたことが、彼女の運命に大きな影響を与える物語。
ひまわりと言えば、夏の風物詩。
「冬に咲くひまわりってあるの?」
成長しても、絵のことが忘れられず、この疑問を追い続けた彼女は、わずかな希望を求めて、図書館や植物資料館で調べるが、答えが見つからない。
周りの人たちにこの疑問を投げかけても『冬に咲くひまわりなんて、ある訳ない。』と誰も相手にしてくれない。
あの肖像画の少年(マリオン)は何者?
あれはどこの景色?
なぜ雪の中にひまわりが?
そんな折、肖像画『マリオンの絵』を寄贈したという元の持ち主が判明する。
早速訪ねて行ったニコラは、今は寝たきりになっている元の持ち主、ハリファックス卿に、これまでのことをすべて打ち明ける。若い頃、ロマンを求めて全財産をかけたハリファックス卿には、ニコラの気持ちがよく分かる。
そして、自分の代わりにと、孫息子のロミリーを紹介してくれる。彼はニコラの良き理解者(後に配偶者)となる。
ロミリーの手助けで、肖像画を描いた画家の日記を見つけ、冬のひまわりは山に咲くことが判明。
驚き呆れる周りをよそに、山岳部に入るニコラ。
冬山でケガを負い、1人だけ隊を離れたニコラは道に迷い、不思議な世界、レニの村に辿り着く。
そして、その村では『レニの花』と呼ばれている冬のひまわりをとうとう見つけるが…
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科学的には解明も、証明も出来ない、常識を超えた不思議な世界。
そして、夢を追い、ロマンを求める人には、実際に見るチャンスが訪れるかも知れない神秘な世界。
世の中には、分からないからこそ良いことだって、きっとある。
夏にしか咲かないと思い込んでいたひまわり。
けれど、真冬に雪の中で燦然と輝くひまわりがあっても良い。
それはきっと、信じる人には、見える花。
《因みに…》
現在、冬に咲くひまわりの品種はあるそうです。
今では可能だという、真冬にひまわりブーケのプレゼント。
ヘッダー画像のような光景を、実際に見ることも可能だそうです。