餞の日は静かにゆるやかに近づいてくる。たくさんの贈り物を残しながら。
いつだったろうか。
新生児用の抱っこ紐を手放したのは。
いつだったろうか。
解体したベビーベッドをゴミ置き場に運んだのは。
いつだったろうか。
捨てられなくてこっそり取っておいた離乳食の食器が色褪せて泣く泣く捨てたのは。
わかっていること。
赤ちゃんでいてくれるのはあっという間。
小さな手が抱っこを求めて空を仰いでいたのは抱っこができる間だけ。
いつしか抱っこも重くてできなくなった。
外では抱っこはしなくなり、うちの中でも持ち上げても5秒がやっとになり。
そうして、自分の翼で飛び立つ日が近づいてくる。
抱っこの次は自転車の後ろで一緒に移動している。
保育園まで自転車をこぐとき、この日々も終わりが来ると思うと保育園に着くのが惜しい。
椅子から降りるとき支えるのも重くて大変になってきた。バレないようにぎゅーっと抱きしめて降ろす。
春が来たら進学で自転車で送ることもなくなる。
いつだって終わりの日に近づいている。
ベビーバス、抱っこ紐、ベビーベッド、離乳食用のイス、哺乳瓶、離乳食の食器。
成長の足跡には、胸を熱く焦がすたくさんの思い出たち。
きみの記憶には残らないであろう幼い日々を心の中に大切にしまっておきたくて、文章にしたり、写真にしたり、動画にしたり。
毎日目まぐるしくて、手からこぼれていきそうな思い出たち。
きみが大好きで大好きでずっと幸せを願う気持ちを何度だってすぐに思い出したいのに。
だから今日もカメラを向ける。
文章にする。
こんな気持ちをありがとう。