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小説・詩

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魔法のIランド、小説家になろうには既に書いた小説がありますが、こちらにも投稿済みの短編をあげています。これらの短編は長編作品の番外編です。ハッシュタグで作品タイトルを選んでいただ…
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#僕の幸せな結末まで

短編小説:ゴキブリ_2021.06.21

 香港のとあるマンション  土曜日の朝、寝室で男の人が寝ている。30代後半くらい。    サラリーマンはね、時々、飲みたくなくてもお酒を飲まなくてはならないこともある。昨日は、この人午前様でした。でも、今日は休みです。惰眠を貪りたいわけです。そこへ、エプロンをつけた女性が登場。すとんとご主人の寝ているベッドに座る。 「清ちゃん、起きて」 「起きません」 「そんなこと言わないで、起きて」 「……」 「あなたじゃないとできないことがあるんだって」  そんなことで、ホイホイと喜

短編小説:同窓会_2021.03.06

長編:彼女は牡丹君は椿①のとある場面から繋がる話 長編:Another story of 僕の幸せな結末とも関連があります            キャストは 若き日の清一さんと夏美さん   千夏ちゃんのお父さんとお母さんで   春樹君と暎万ちゃんのおじいちゃんとおばあちゃ   んです  仙台市内のとある賃貸マンションのリビングに若い女性が2人と女の子の赤ちゃんがいる。赤ちゃんは、音のなるおもちゃで遊んでる。 「なっちゃん。今度の同窓会どうする?」 「ん?あ〜、あれ?」

短編小説:死水_2021.01.05

この作品は、僕の幸せな結末までの2人が結婚して 娘夫婦と孫と二世帯住宅で同居しており、 清一さんが退職された後のお話です。 清一 その日、自分はゴルフをしていた。 相手は仕事をしていた時の取引先でお客さんだった。三度の飯よりゴルフの好きな人で、なかなかいい腕をしている。生半可なやつ相手だとつまらないらしく、僕は昔から気に入られていた。 そんなこんなで、お互い退職した後は、仕事とかは抜きで他に何人か呼んで今でも一緒にゴルフをしている。 どっちかが墓穴に片足突っ込むまでとい

短編小説:旅行に行こう

   清一     「ね。なにしてんの?」 顔をあげると、ソファーの背もたれから妻が僕を覗きこんでる。 「見てわかんない?」 「わかる」 「じゃ、なんで聞くの?」 「それが会話ってもんでしょ?」 よくわからない。 「ね、質問していい?」 「いいよ」 「もう、そういうことする必要ないんじゃないの?」 「どうして?」 「だって新聞ってさ、特に経済欄。仕事のために読むものじゃないの?あなた、もう仕事してないじゃない」 じっと妻の顔を見る。なんか、新聞を読む必要がないと言

短編小説:水羊羹

わたしの長編の作品の中に、  僕の幸せな結末まで、わたしの幸せな結末から、みんなの幸せな結末へ というものがあり、せいちゃんとなっちゃんが主人公の物語です。 それとは別に  ゆきの中のあかり①②③ というものがあり、これはせいちゃんのお母さんである塔子さんが主人公の物語です。 視点を変えて書いたこれらの話の一部の場面は他の作品と重なっていて、同じ場面を視点を変えて語る構成になっています。水羊羹は全く同じ場面が ゆきの中のあかり① の中にあり、それは塔子さんの視点で描かれていま

短編小説:動物園へ行った日②

   拓也 「すみません。遅くまでありがとうございました」 夜、小野田さんの家から電話がかかってきて、帰りの車で清一君が寝てしまったからと。 「起こすのもかわいそうだから、このまま連れて帰ってもらったほうがいいかと思って」 言われるがままに隣の家の駐車場に行くと、2人の女の子と1人の男の子がぐっすり寝ていた。 「先にうちの子おろしちゃうんで。すみません」 なっちゃんのお父さんがあかねちゃんとなっちゃんを抱っこして運ぶ。行って戻って二往復。 「荷物持ちますね」

短編小説:動物園へ行った日①

2019年にかいた 僕の幸せな結末まで という小説が、私が生まれて初めて最後まで書いた小説でした。(2010年頃に途中まで書いて挫折した小説もあり、こちらの方は、2020年になってから後半を補完して完成)この短編は 僕の幸せな結末まで に出てきた主人公の男の子と女の子が子供の頃の話で、回想の形で書かれています。お楽しみいただけましたら幸いです。何回かに分けて掲載します。 汪海妹 清一 「ねぇ、せいちゃん。次の日曜日は動物園へ行くよ」 僕たちはあの時、小学生だった。 僕