アウトドア漆器試作の日々 〜嗚呼、職人の絶望日記〜
アウトドア漆器ブランド立ち上げ記
2016年10月
erakkoというブランドネームとロゴも決まり、あとは製品の試作を繰り返してつめていけば、デビューが見えてくる。
課題が山積みで、デビューまで5年くらいかかるかと思っていた3ヶ月前と比べると、確実に前進している。
試作もデザイナーの人と確認しあいながら進めていく。
こだわったのは、スナフキンぽさ。
アウトドア用品としては、機能的かつ、極限までの軽さを追い求めた「Ultra Light(ウルトラライト)」の潮流がきているが、そちらには対抗しない。
軽さなどを追求して薄くしすぎると、木の持つあたたかみまでを削ぎ落としてしまうことにもなる。
それよりも、「しずかであたたかみのある時間を感じたい」という想いのブランドなので、木と漆の天然素材をじっくりと味わえるような演出のものが良い。
それこそ、「孤独も愛する」というコンセプトワードにふさわしい、スナフキンぽさである。
ちなみに、前回ご紹介した、重ねて収納できる試作品はボツである。
便利だが、かわいらしさがない。
あれは、ムーミンやスナフキンなど、しずかな時間をじっくり大切に過ごす者たちは使っている所が想像できない。
「機能性」に傾きすぎている。
うつわを大切に持ち運べるように、アウトドア用のお鍋に入れられるという設計は変わらず、木地の厚みをできるだけ持たせたりして雰囲気をみていく。
ぽってりとした丸みを出しつつ、「和の伝統」みたいなカタい雰囲気も消していく。
そうして試作を繰り返す日々。
ついに、「これは、スナフキンが使っていそうだぞ!?」というものができた。
ぽってりと丸くて、ほどよい木地の分厚さがある。
手のひらでつつみこんだ時の感触もいい。
「これは、、、ずっとさわっていたくなる、、、」
コンセプトに合うものができつつある!
つづく。