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マッチ箱の記憶。「書く」を仕事にした私が、そこにいた。
今、とにかく人生初ぐらいの大掃除をやって
おりまして。
春の暖かいうちにちゃっちゃっと済ませておけ
という声が、どこからともなく聞こえてきた。
聞こえた束の間、計画が早くも挫折しそうなん
ですが。
集中できないんですよ、
あれやこれやでてくるさかいに。
ベッドの下からやな、まずと思ってごそごそ
引き出すものを引き出してみました。
床との隙間の所に、昔書いた出版物とかを
箱に入れてしまってあるんですが。
箱に入れておく癖のあるわたしは、茶色い誰かに
もらったハガキ入れにこんなものたちを入れて
ありました。
こんなんでてきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1647286213407-CGRyLx3SHz.jpg?width=1200)
これを欲しいという人がいなくて、
捨てるの可哀そうやんかぁって
なってわたしが引き受けました(*‘∀‘)
むかし、わたしは大阪に住んでいた頃
コピーライターしながら、お店紹介の
雑誌で駆け出しのライターをしていました。
今みたいに、食べログなどない時代です。
そこで、取材先でお世話になったお店には
お店のロゴの確認も必要だからと、
マッチなどをもらうルールがあったのですが。
いくつか取材先で頂きました。
それを集めていたみたいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1647338832463-kdl5l4cIFP.jpg)
すこしだけ、出会ったお店たちを振り返って
みたくなりました。
①トゥール・ドール
![](https://assets.st-note.com/img/1647339698838-vms4u9SgMO.jpg)
これは、神戸の諏訪山にあった展望台の
てっぺんにある素敵なレストランでした。
昔、とある雑誌が、接待特集を企画していた
時のものです。
1冊まるごとお酒オンリーの情報雑誌でした。
「接待」あたりまえやん、と強いられる時代に
働いておりました。
雑誌の紹介文としてはこんな感じ。
お酒や料理にもまして、素晴らしい眺めは
おもてなしにも効果的ですねみたいな、
眺望のよさをできるお店の紹介記事でした。
ま、オシャレって今でいうなんだろう
ま、そういう、インスタ向けのオシャレな
お店の代表のようなところでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1647341060638-PkpBoj1uAe.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1647341179324-bKhCja2PoF.png?width=1200)
このスープ皿の
ふちの面積の多さがフレンチですな。
つぎは、六甲。
②OLD NEW
![](https://assets.st-note.com/img/1647348989493-VXsOWmgnea.jpg)
あの安藤忠雄さんの
設計でした。
六甲台の高台に位置するこのお店は
安藤忠雄さん設計とあって、コンクリート
むきだしの無機質な外観も魅力でした。
地元の御影石で作られたドーム型のお店。
一階がレストランになっていました。
イタリアの画家の名前「ドゥッチョ」に
ちなんだネーミング「ドラッチオ」って
いうカクテル飲んでみたかったなぁ。
つぎは、京都。
③ル・フジタ
![](https://assets.st-note.com/img/1647350695858-btOv1wj9Jd.jpg)
ちょっと、あちこちが
破けているのは、
大好きでいつも手元に
置いていたからなんです。
この頃は関西日仏学館の一室を
改造してフランス料理のレストランに。
店名はあの藤田嗣治画伯にちなんで。
ガーデンテラスではパーティもできる
ようなそんな緑に囲まれて素敵な
家庭的な雰囲気のお店でした。
プチタルととかタルトタタンが美味しかった
です。
![](https://assets.st-note.com/img/1647362532151-FNDBMgkZ4x.png)
次は、神戸。
④塩屋異人館俱楽部
![](https://assets.st-note.com/img/1647355816110-Q91sMdXXrM.jpg)
昔は住居として使われていた洋館を
そのままレストランに改築した外観。
海岸線沿いに建っていたので、海を
眺めながらの食事にぴったりのそんな
お店でした。
正面に噴水があって裏手には芝生が
敷き詰められた庭園がありました。
![](https://assets.st-note.com/img/1647356815197-j0FVGHcjPy.png)
塩屋はジェームス山と呼ばれています。
1930年頃に、イギリス人の貿易商、アーネスト・
ウイリアムス・ジェームスが、神戸に住んでいて。
この塩屋あたりにイギリス人のための住宅地60棟
以上を宅地開発して、ジェームスの名にちなんで、
「ジェームス山」と呼ばれるようになったそう。
次は、大阪!
⑤カムヒュー・ロサンゼルス
![](https://assets.st-note.com/img/1647365086514-WcbTAGj9M6.jpg)
カムとヒヤーでカムヒューって
いう名前のレストラン。
大阪の西区にありました。
この名前は今でいう、パーリーピーポー
みたいなノリかな。
ここはお誕生日のパーティーにもって
こいで、手作りケーキのプレゼントと
記念撮影つきでした。
お酒はデカンタ売りというちょっと
面白い販売方法でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1647367821511-gZRXvgnMmj.png)
次は、わたしがいちばん好きな京都の
お店のマッチなんです。
⑥ソワレ
大好きなので、店名もでっかく!
![](https://assets.st-note.com/img/1647368074599-c30gy6dFmO.jpg)
好きなのでマッチもでっかくしました!
![](https://assets.st-note.com/img/1647368130393-UHU0n1DMxJ.jpg)
戦後まもなく開店。
お店全体がレトロな感じで、
たまらなく好きでした。
お店の壁には東郷青児や
石坂春生などの画家たちの作品が
飾られていました。
店内にいても音楽が聞こえてこない。
BGMのないお店で。
会話している声も音が吸い込まれて
いくような。
みなさん静かに、佇んでいらっしゃい
ました。
このマッチにわたし肩入れしていますが
裏もすごくいいんです。
裏はこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1647368774392-Dzyjit6qdv.jpg)
「珈琲の香にむせひ(び)たるゆうへ(べ)より 夢みる人となりにけらしな」
わたしは勝手に
たんかマッチと
名づけてます。
☕珈琲の香りにむせぶ日の暮れる頃、夢見るひととなってしまったようだよ☕
![](https://assets.st-note.com/img/1647369012218-jVSlFBPUYF.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1647369126280-i7wHIUAfJU.png?width=1200)
編外編
取材させて頂いたこと多分ない
はずなんですが、このマッチも
好きなのにお店のことがあまり思い
だせない。
でもこういうテイストのお店は行き
倒していた気もするので。
行ったのかもしれない。
マッチのデザインがたまらない!
![](https://assets.st-note.com/img/1647422654238-iiZrlb02Ln.jpg)
SaRy。
ちょっとググりました。
かつて三宮にあったアンティーク喫茶でした。
大阪の街を離れてどれぐらい経つだろう。
片付けものをしていたら、マッチ達がでてきて。
あの頃のことを想いがけず思い出していました。
大阪時代は、仕事が向いているのかよく
わからないまま、こんなふうにしてお店を
取材させてもらっては、行ったり来たりしたり
立ち止まったりしていたんだなって。
今日紹介したお店も昨今の諸事情で、ほとんどが
閉店したり移転したりしていたんです。
唯一、京都のソワレは健在だったことがうれしい。
かつてそこにあったお店の証のように、マッチが
ここにあることもうれしい。
喫茶店や飲食店にマッチもなくなって久しいし。
それでも、このマッチたちは大切にして
ゆきたいなって思います。
わたしが仕事をしていた原点がそこに
あるような気がするから。
そして。
このマッチたちをみると、あの頃の初心の
気持ちを思い出せそうで、また新しい一歩が
踏み出せそうなそんな気がする、春の夜です。
ゆらゆらっと ほのおちいさく わらう日は
めらめらっと ほのおすくすく あの日を照らす
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![ゼロの紙 糸で綴る言葉のお店うわの空さんと始めました。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145050803/profile_907cc1ba9577a37ee533e33579c28a19.jpg?width=600&crop=1:1,smart)