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エッセイ

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#スキしてみて

下町のGOEMON ~立ち飲み屋で遭遇したおっさん~

 以前、一人でプラッと立ち飲み屋に行ったときのこと。 僕が立っているカウンターの隣には、パチンコ帰りのおっさんが2名、ワイワイと民度の低い会話を繰り広げていた。  その会話が面白かったのでちょっと紹介しようと思う。 オッサンA「今日俺、暇だったもんだからさぁ、パチンコ行く前にDVD借りたのよ。GOEMONってやつ」 オッサンB「へぇ・・・。知らなねぇなぁ。時代劇かぃ?」 A「まぁ、時代劇みたいなもんなんだけど、CG(“すぃーぢー”的な発音)がすんげぇの」 B「へぇ

ゴスペラーズの方ですか?

先日遭遇した女性の話をひとつ。  田舎から東京へ帰る為、ボクは高速バスの停留所でバスを待っていた。しばらくすると、女性が一人停留所にやってきた。 その女性は“ふくよか”という表現では到底コーティング出来そうもない、あり余る霜降り肉とパッションの所有者で、その眉毛の細さと体格から一見して常人の感性では決して辿り着けないであろう場所から世界を見ている方なのだということがわかる。 彼女はその能登半島と見紛うばかりの眉毛をさらに鋭角に尖らせながらあたりを見回して、おもむろにバッグ

歯医者での永遠の課題。

 先日歯医者に行きました。治療で歯医者に行くのは約20年ぶりです。先日、歯のクリーニングをしに行ったときに虫歯が見つかってしまい、20年ぶりに虫歯治療のために歯医者に行ったわけです。  小学生の頃行ったときより、恐怖を感じました。  で、お約束の 「痛かったら左手を上げてくださいね」 コールですが、あの基準が歯医者初心者のボクには分からないわけです。  あの小型電気ドリル(仮称)が虫歯に当たった時点で実際は痛いわけです。虫歯だもの。でも、歯科医はその基準で手を挙げる

ゲロとウンコとファンキーガッツマン

 ダーツバーを貸し切るというプチバブリーな幼馴染の誕生日会に出席するために、土日を利用して地元に帰っていたわけだが、そこに集まった同志は約30名。お見合いパーティーの雰囲気がプンプン香り立つ会場でその彼を祝い、僕はというと女性と話すのは毎週事務所の掃除にやってくる金髪で前歯のないおばちゃん以来なので否が応にもテンションがあがる。  久しぶりに会う友人や、どこのプリケツか分からないような人々に囲まれて、ボクはダーツで人のケツしか狙えなくなるまで飲み、その後の二次会でも人妻を口

京都っていいよね・・・。【学生時代の壮絶エピソード】

 僕は、高校を卒業してから京都の大学に1年だけ通っていて、そのときは京都市の南、宇治市の小倉という地域に住んでいた。駅前には国道24号線が走っていて、スーパーとレンタルビデオ店と居酒屋とマクドナルドと無印と他数店が入った駅ビルとも言いがたい建築物が建っていた。京都といってもその周辺には平等院鳳凰堂があるだけで、他は京都らしいものはそれほど多くなかったような気がする。  僕は適当に選んだその大学に行くのがイヤになって、夏休みが終わってからは学校に行かなくなってしまっていた。  

ネコはお嫌いですか?

 現在は自宅で猫と暮らしているが、僕がまだ猫を飼う前の、20代半ば、新宿御苑前の出版社であるフリーマガジンの雇われ編集長をしていた時のこと。  その日のお昼は公園で食べた。ポカポカしていたし、胃腸が疲れているのか、お昼の定食を食べきるだけの食欲が無いし、それなら軽食でも、と、ドトールを覗いたらいっぱいだったから。  菓子パンを食べながら胃腸虚弱故の嘔吐感と戦っていると、半分にちぎって膝の上に乗せた僕が食べていないほうのパンをガサガサしてるヤツがいて、見るとネコが寄ってきて

そんなお年頃。【中二病の症状についての考察(嘘)】

「なか卯っで ご飯を食べよう♪」 と大声で歌っている子供が「すき家」に居た。 その斜向かいの席で遅めの昼食をとった。  その子が居るときはそっちが気になっていたが、その子が居なくなってから逆側の席の女子中学生二人が目に入った。乙女ロードという腐女子の楽園の近くなので、いい具合に腐った女の子達だった。  ひとりは、やたらがんばってカワイイ声を出そうとしている子で、仕草から何から延髄のあたりを刺激されるような仕上がり。僕が中学生だったら確実に手が出ているレベルだが、まぁも

納豆と男の子

 “近くのコンビニを探しても見つからない。いつもそばにあるのが当たり前過ぎて、いつの間にか失っていたことにすら気付かない。切なくて、悲しくて、僕はこぼれる涙を眩しすぎるコンビニの蛍光灯のせいにした。”  …納豆の話です…。 無性に食べたくなって、先日、ご飯を炊いてからいざコンビニへ。 がしかし、近所にある二軒のコンビニどちらも品切れ・・・。 凹みますよね・・・。自宅でふっくら炊き上がっているであろう長野県産コシヒカリになんて詫びればいいのか。  仕方がないのでお惣菜を物

月明かりに照らされて 【中華屋のおっさんの考察】

 先日、お昼ご飯を食べに近所の中華屋に行った。  店内のテレビではモノマネ番組の再放送がやっていて、ボリュームもそれほど大きくないので店内にいる客も注文した品が来るまでの時間つぶし程度に眺めるくらい。  程なくしてオッサンが入店した。   60歳前後だろうか。小柄で入店時から若干笑みを浮かべた髪の薄いオッサン。  彼は席に着くなり定食を注文し、テレビに目をやる。テレビで流れるモノマネのそれを観て、オッサンは「似てんなぁ・・・。」と呟きながらケタケタと笑い始めた。おそら