そんなお年頃。【中二病の症状についての考察(嘘)】
「なか卯っで ご飯を食べよう♪」
と大声で歌っている子供が「すき家」に居た。
その斜向かいの席で遅めの昼食をとった。
その子が居るときはそっちが気になっていたが、その子が居なくなってから逆側の席の女子中学生二人が目に入った。乙女ロードという腐女子の楽園の近くなので、いい具合に腐った女の子達だった。
ひとりは、やたらがんばってカワイイ声を出そうとしている子で、仕草から何から延髄のあたりを刺激されるような仕上がり。僕が中学生だったら確実に手が出ているレベルだが、まぁもういい大人なのでその位では動じないという広い心が養われている。もうひとりは、そっちはそっちで今度はがんばって低い声を出していて、「これがアタシ地声だ」と言い張っていた。要するに二人とも重度の中二病患者で、それを踏まえた上でここから先を読んでいただきたい。
二人はカラオケに行ってきた帰りらしく、話を聞いていると選曲もアニソンやボカロ曲など、それはそれは電波縛りな内容だった。
カワイイ声を出そうとしている方の痛い子は、一人称が「オレ」という、かなりいい感じに煮詰まったキャラ設定を自分に課していて、もうひとりの子がチョット変な事でも言おうものなら、「もぅ。そんなこと言っちゃダメなんだゾっ!」とか声を作って言っちゃう感じで、僕は備え付けの紅生姜を素手で掴んで投げたくなる感情を必死で抑える。それでもそっちの子の中二病はそのくらいの症状なので可愛いもんだが、問題はその隣の子。
中二病をこじらせて社会復帰ができなくならなければいいけど・・・。と心配してしまうレベルだからこっちとしてはいい暇つぶしになる。
誰がどう見ても無理して出している低い声(それでもたいして低くない)を、「てかこの声しか出せないし」と言い放ち、その後二人はカラオケの選曲について話しはじめた。
案の定その子は、「男性アーティストの曲しかキーが合わないんだよね。」と言い出した。そもそも何故低い声キャラがかっこいいと思ったのかも謎だが、「男性アーティストのキーが歌える」と言うことでは飽き足らず、「男性アーティストの曲を“オク下”(1オクターブ下げ)で歌う位がちょうどいい」と、もう摩訶不思議な発言が飛び出す始末。
もうそれは“中尾彬”レベルだ。そう、もうその子は「低い声」と言う設定にこだわり過ぎて自分がどこを目指しているのか、着地点を完全に見失ってしまっている。
13~14歳の女子が
“中尾彬くらいが丁度いい”
と、万丈一致で「嘘」とわかる発言を平気で言える。それも中二病の症状の特徴だが、一番恥ずかしいのはその嘘自体ではなく、それがかっこいいと本気で思っていることと、その嘘がバレていないと純粋に思えるあたりが、中二病の治療困難な理由でもあるのだと思う。