ネコはお嫌いですか?
現在は自宅で猫と暮らしているが、僕がまだ猫を飼う前の、20代半ば、新宿御苑前の出版社であるフリーマガジンの雇われ編集長をしていた時のこと。
その日のお昼は公園で食べた。ポカポカしていたし、胃腸が疲れているのか、お昼の定食を食べきるだけの食欲が無いし、それなら軽食でも、と、ドトールを覗いたらいっぱいだったから。
菓子パンを食べながら胃腸虚弱故の嘔吐感と戦っていると、半分にちぎって膝の上に乗せた僕が食べていないほうのパンをガサガサしてるヤツがいて、見るとネコが寄ってきていた。なんだか人なつっこいなぁ、野良のくせに。と思って自分の食べていたほうのパンのクリームの付いていない部分を手のひらに乗せて差し出すと、特にありがたいとも思っていないようなまずそうな顔で食べた。もうひとちぎり地面において、僕は自分のパンの続きを食べ始めた。地面においてやったパンを食べ終わると、そいつは僕の足をよじ登ってひざの上に座り、僕が手にしているパンをガシガシと引っかき始めるもんだから、仕方なくひっかかれた部分をちぎって地面に置くと、ネコはまたまずそうな顔で(そいつはそういう顔なのかもしれない)食べると、もうよくなったのかネコ独特の「テコテコ」した小走りでどこかに行ってしまった。
だから今日のお昼は菓子パン半分で、それでも僕のおなかはいっぱいになっていたからもうひとつ買った菓子パンは家に帰ってから食べた。