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ゲロとウンコとファンキーガッツマン
ダーツバーを貸し切るというプチバブリーな幼馴染の誕生日会に出席するために、土日を利用して地元に帰っていたわけだが、そこに集まった同志は約30名。お見合いパーティーの雰囲気がプンプン香り立つ会場でその彼を祝い、僕はというと女性と話すのは毎週事務所の掃除にやってくる金髪で前歯のないおばちゃん以来なので否が応にもテンションがあがる。
久しぶりに会う友人や、どこのプリケツか分からないような人々に囲まれて、ボクはダーツで人のケツしか狙えなくなるまで飲み、その後の二次会でも人妻を口説きながらこれ以上呑んだら何かしらのわいせつ罪を平気で犯してしまう寸前まで酒を飲んだ。
そのあとの3次会、貸し切ったダーツバーの店員S君と違う店にダーツをしに行き、よせばいいのにビールにソフトクリームを入れて飲んだ。恐らくクリームソーダのノリだと思う。
明らかに体調が音を立てて悪くなり、的にダーツの矢とゲロが見事命中。ソフトクリーム入りビールの恩恵にあずかりウンコが直腸を刺激する。その日に飲んだ量も問題だが、やはり最後の「ソフトinワン(ビール)」が決め手となったようだ。ボクは、千鳥足で走るとこんなにもリズミカルなステップが踏めるのかと驚きながら16ビートでトイレへ駆け込む。
上から下から体内洗浄が行われ、ボクの消化器官は10分にして空っぽになった。
そしてろくに睡眠も摂らぬまま、酒焼けで“もんたよしのり”ばりにファンキーな声でS君に別れを告げ、帰りの電車に乗り込んだ。
電車の隣の席の男がまたナイスなファッションセンスの持ち主で、令和とは思えないビビットな多配色のTシャツをさらりと着こなしたアキバ@ファンキーガッツマンだった。彼のしているイヤホンからは恐らくアイドル系の曲が盛大に漏れていて、本来ならゲロの1リットルや2リットルぶっ掛けてやるのが大人の嗜みというものなのだろうが、あいにく彼に捧げるゲロはさっきダーツのブルと便器に費やしてしまった。
新宿までの約3時間を「アイドル系EDM」と「ファンキーガッツマン」に完全に凌駕されて、消化器官が空っぽなボクは瀕死の状態で電車を降りた。