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意外と誤解されてるブランディングの意味 ⑤
ブランド構築において、発信者が何をしたいか、どこへ向かっているのか、誰に発信しているのかが曖昧であると、それはブランド力としての伝播する力は弱くなります。
そこで私たちはブランドを考える前に自分や自社が「何者なのかを自問する」必要があるわけです。これにおいて、自分が考えるブランドの本質を以下の様に言います。
ブランドアイデンティティ(BI)
ブランドアイデンティティを「BI(ビーアイ)」と略されますが、巷で言われるBusiness IntelligenceのBIではありません。
そしてもう一つ。BIを決めるにあたり、ブランドパーソナリティというものを決める必要があります。
このパーソナリティには、自分やブランド経営で指揮をとる方のパーソナリティが反映されやすいものですが、そうであるべきというわけではありません。ブランドをどう舵取りしたいかは自由なわけです。自分が作りたいブランドイメージというものを決める、つまり世界から「この様に認知されたい」というイメージを決めて、それに見合うパーソナリティを決めていきます。このブランドパーソナリティを決めるのは、自分のプロフィールを埋めるかの様に行っていただいて良いのではないかと思います。
以下にまとめます。
・相手に与える印象(これがブランドアイデンティティ(BI)となります)
・相手に届けたいメッセージ(ブランドステートメントと言います)
・好きな言葉・キーワード(BIとイコールの意味合いになります)
・届けたいもの(ブランド商品、自分が商品でも成り立ちます)
・好きな場所(ブランドを展開させたい場所です)
・好きな色(ブランドがまとう色です)
・サービス価格帯(ブランド商品の料金を仮で決めてください)
・まとう服(ブランドがまとう「雰囲気としての色や形」でもいいです)
・届けたい人(ターゲット、性別、年齢層、人種、地域)
・届けるタイミング(四季、時間帯、あるいは特定のタイミングなのか)
・届ける媒体(届ける人との接点、ウェブ、SNS、対面、オンラインなど)
・届ける方法(郵送、手渡し、対面、オンラインなど)
思いつく限りのことを上げてみましたが、別にこれに囚われる必要はなく、他にも思いつく限りのことを書き出してみてください。ターゲットや料金など現実的な問題はあとで変わってもいいので、一旦決めます。ポイントは、
自分の「子供」を生み出す様な感覚で、
細部にまでこだわって書き出してみる。
私の教える大学でのブランディング授業では、これと同じものを20才前後の生徒にやってもらったのですが、楽しそうでした。別にデザイナーを志してない生徒でもこうした自身の分身の様なものを考えるプロセスって、やっていて楽しいんだろうなって。教えていて目の当たりにしました。
そして、ここでポイントですが、
まずはマーケティングなんか全く無視して
自由に考えてください。
自分のブランドを考えるにあたり、何が一番大切かわかりますか?
これは迷いなくお伝えできます。これです。
自分がそれをやって楽しいかどうか
はっきり言って、これが全てです。
楽しんでやれるものは、自ずとみなさんの情熱が入ります。その理由は「楽しい」からです。没頭できます。時間も忘れて、仕事をやっている、やらされているという感覚でさえ脱落して、ある種のトランス状態に入ります。この境地に行くと何が起こり始めるかというと、
人が集まりだします
支援者だったり、購入者だったり、ビジネスパートナーだったり、ファンだったり、応援者や紹介者だったり、必ず何かの繋がりが生まれ始めます。仕事への「情熱」という火は、必ず他へ燃え移るからです。それが強ければ強いほど、伝播の力が比例して強くなり、周りの人を集め感化していきます。よって以下が言えます。
ブランドの強さの発端は
創業者の情熱の強さに比例します
もうこれは疑いようのない事実なんです。
アップルのスティーブジョブスは、毎日鏡を見て自問していたそうです
「今日が人生最後の日だったら、私は何をするのか?」
こんな強烈な意識を持って毎日を過ごしている人がどれだけ世界にいるのでしょうか。。
ジョブスの情熱の結果は、みなさんの見ている通りのものになってます。
子供の様に、貪欲に自分の「したい」を追求していいと思うんですよね。
他人が「自分に何を求めているのか」より
自分が「何をしたいのか」を考える
マーケティング理論的に0点に近い回答になるのかもしれませんが、気にしなくていいです。市場にどんなニーズがあるかないかなんてものは、数百、数千万円ほどの大きな予算をかけて大々的に市場調査でもして数字を追わない限り、なかなか正確には掴めるものではないんですよ。また調査をかけたところで、今日のニーズが明日のニーズになるとは限りませんよね? しかもニーズがあるものが、みなさんのやりたいことでない場合、それをみなさんがやる意味はありません。他人がやればいいわけです。
シンプルに考えてみればいいんです。
最後にまとめです。
1 自分にとって楽しいことは何か、それを自問すること
2 それに基づきブランドアイデンティティを作ること
3 ブランドアイデンティティに基づいて、パーソナリティを決めること
どの工程でさえも、みなさんが本当にやりたいことを見つけているのであれば、面白くないはずはないんですよね。
次回は、この「ブランドアイデンティティ」というものをさらに深掘りしていきます。