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神戸連続児童殺傷事件から27年、14歳の心に迫る小説&映画4選
1997年5月24日、日本全国を震撼させた神戸連続児童殺傷事件から27年が経過します。
当時14歳の少年が起こした犯罪に、ショックを受けた方も多いのではないでしょうか。
二度と繰り返されてはならない悲劇。
今回は、同じ年頃の子どもたちの心を掘り下げた小説と映画を4本紹介します。
いずれも14歳前後の子どもたちの心の複雑さと、その背後にある社会や家族の影響を描いた作品たち。
神戸事件のような悲劇を二度と繰り返さないためにも、私たちは彼らの声に耳を傾け、理解を深めることが必要です。
こんな時、自分が親だったらどうしていただろう
同級生の殺人容疑で十四歳の息子・翼が逮捕された。
親や弁護士の問いに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話をかけていた。
真相は語られないまま、親子は少年審判の日を迎える。
私には子どもがいないので「子どもを育てる」ということがどういうことなのか、正直よく分かりません。
ただ一つ、五十歳を超えて言えることがあります。
小さい頃に思い描いていた「しっかりした」大人にはなれていないよな、と。
自分が少年の父親である吉永の立場だったら、どう振舞っていたか?
自己保身のために、子どもにやっていないと認めさせるだろうか。
それがダメなら「やってしまったのは仕方がなかったからだ」と言い訳を探していたかもしれない。
吉永の行動を「誠意がない」なんで糾弾できない。
結局は、その時、場面で最善と思う選択をしていくしかない。
そうならないための努力は必要だけれど。
子を持つ親はもちろん、大人になりきれていない人に、ぜひ読んで欲しい一冊です。
10代の頃って、とにかく何かに悩んでいた
「三人とも自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」
読みながら『デスノート』を思い出させる作品だな、と思いました。
しかし、『デスノート』とは根本的に違うところもある。
複数人の異能力者がいて、それぞれ能力が異なる。
当然口外不要なので、本人以外は誰がどんな能力を持っているのかは分からない。
タイトルからアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を想起したのだけれど、このタイトルにはもっと深い意味があった。
それぞれの能力の意味。
どうして4人は『自殺』しなければならなかったのか。
どうやって『自殺』したのか。
すべての謎が解き明かされてもすっきりしない思い。
10代を経験したすべての人に読んでほしい作品です。
親も子と一緒に成長する
バケモノである熊徹に育てられた人間の少年・蓮。
それぞれが支え、支えられ、成長していく。
育てられるのは子供だけじゃない。
親だって子どもに育てられる。
一歩間違えれば邪悪な考えに陥ってしまう。
しかし、支え合うことで克服できる。
教育するのではなく。
人としての大切なことを教えてくれる、そんな作品でした。
子どもを産んだら大人になれるのか?
「子どもを、返してほしいんです」
特別養子縁組で栗原家の子どもになった朝斗。
朝斗の産みの親は、なぜ育ての親に「子どもを返してほしい」などと言ったのか?
中学生の産みの親、自分たちの子を産めなかった育ての親、そして産まれ、健やかに育った子ども。
それぞれの立場から描いた、それぞれの思い。
誰が悪いわけではない。
しかし、結果として超えてはいけない一線を超えてしまった。
親である辻村さんが描く、家族の物語。
女性はもちろん、男性にも読んでほしい1冊です。