『糖質疲労』山田悟さん
概要
「糖質疲労」は、現代人が多く感じている「なんとなく疲れる」「眠くなる」といった不調の原因が、糖質の過剰摂取にあると解説しています。炭水化物や砂糖が多く含まれる食品を摂ると、血糖値が急激に上がり、体が元気になるような気がしますが、すぐにインスリンが分泌され血糖値が下がり、今度は眠気や疲れ、集中力の低下を引き起こします。著者はこの「糖質疲労」を解消するために、「ロカボ(低糖質)」な食生活を推奨しており、糖質の量を適度に抑えながら、タンパク質や脂質をしっかり摂ることを勧めています。特に、食事の順番や食べ方にも工夫が必要で、炭水化物を最後に食べる「カーボラスト」を実践することで、血糖値の乱高下を防ぐことができると述べています。
本のジャンル
健康、ライフスタイル、自己啓発
要約
糖質疲労とは?
現代の多くの人が「なんとなく体がだるい」「昼食後に眠くなる」「疲れが取れにくい」と感じることが多いのは、もしかすると「糖質疲労」によるものかもしれません。糖質疲労とは、糖質を多く摂取した後に体が感じる疲れや眠気、集中力の低下などの不調のことを指します。糖質を摂ると、血糖値が急激に上がり、その直後にインスリンが大量に分泌され、今度は血糖値が急激に下がります。この急激な変動が体に負担をかけ、エネルギー不足を引き起こしてしまいます。
例えるなら、ジェットコースターに乗っているようなものです。最初は勢いよく上がる感覚が楽しいと感じますが、急降下した後には疲れや不安が残るように、糖質を摂取した後にも似たような「エネルギーの急降下」を体が感じてしまいます。
糖質の過剰摂取が招くリスク
糖質疲労を繰り返していると、日常的な疲れだけでなく、肥満や糖尿病、高血圧などの病気にもつながりやすくなります。実際に、日本の食事は「糖質過多」とも言われ、特に白米や麺類、パンなどの炭水化物が多い傾向があります。例えば、昼食にラーメンやご飯物を選び、午後にはお菓子を食べるなど、糖質がメインの食事が習慣化している場合、血糖値の上昇・下降が頻繁に繰り返され、体に大きな負担をかけてしまうのです。
アメリカの糖尿病学会は、成人の糖質摂取を1日130g以下に抑えることを推奨していますが、日本人の平均はその約2倍にあたる270〜300gと言われています。このような「糖質過多」の状態が、糖質疲労を引き起こしているのです。
ロカボ(低糖質)な食べ方
著者が提案するのは「ロカボ」という、無理のない低糖質の食べ方です。ロカボとは「低糖質」を意味する「ローカーボハイドレート(Low Carbohydrate)」の略で、糖質を完全に抜くのではなく、適度に減らすことを指します。具体的には、1日の糖質量を70〜130g程度に抑えることで、血糖値の乱高下を防ぎ、体への負担を軽減します。
ロカボのルール
著者は、ロカボの実践にあたって以下の3つのシンプルなルールを提案しています。
1. タンパク質と脂質をたっぷり摂る
ダイエットや健康のために糖質を控えつつ、タンパク質や脂質はしっかり摂ることが重要です。例えば、ダイエットをするためにカロリーを極端に減らしたり、糖質を全く摂らないと体がストレスを感じ、反動で過食に走ることもあります。しかし、ロカボでは、糖質以外の栄養素はしっかり摂ることが推奨されています。つまり、肉や魚、卵、チーズなどの栄養豊富な食品を積極的に食べて満腹感を得ることで、無理なく糖質を減らすことができるのです。
2. 1日70〜130gの糖質摂取量を目指す
糖質を減らす際に大切なのは、1日あたりの摂取量を適度にコントロールすることです。130g以下を目指すことで、血糖値が急激に上がりすぎることを防ぎ、体が疲れにくくなります。たとえば、おにぎり1個(約40gの糖質)やパン1枚分程度が1回の食事で摂取する糖質の目安です。
3. 「カーボラスト」を実践する
「カーボラスト」とは、食事の最後に炭水化物を摂る食べ方を指します。食事の順番を工夫し、最初に野菜やタンパク質、脂質を摂り、炭水化物を後にすることで、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。野菜には食物繊維が多く含まれており、これも血糖値の上昇を抑える働きがあるため、最初に食べるとさらに効果的です。
日常生活での実践例
例えば、昼食に定食を選ぶ際、ご飯やパンを最後に食べるように意識するだけで、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。また、スナック菓子や甘い飲み物を控え、どうしても小腹が空いた場合は、ナッツやチーズなど糖質が少ない食品を選ぶことが、体への負担を減らすのに役立ちます。
ロカボ生活を続けることは、身体の疲れを抑え、午後もエネルギッシュに活動するための投資です。これを、毎日使うスマートフォンのバッテリー管理に例えるとわかりやすいかもしれません。スマホのバッテリーが急激に消耗しないように、負担の少ないアプリを使ったり、必要な場面でのみ使うように調整しますよね。糖質の管理もこれと同じです。急激に血糖値を上げる糖質の摂取を避け、持続的にエネルギーを保てるように体を整えることが、健康の維持に役立つのです。
まとめと感想
「糖質疲労」は、私たちが日々感じる「なんとなくの疲れ」の原因を明確にしてくれる一冊です。著者が提唱する「ロカボ」な食生活は、無理なく健康的に疲労を軽減し、エネルギーを持続させる方法を紹介しています。特に、糖質を全て排除するのではなく適度に減らし、タンパク質や脂質を積極的に摂るスタイルは、続けやすいのが特徴です。普段の食事を見直すだけで、自分の体がどう変化するかを体感できることが本書の魅力です。
概要欄のリンク先でこの本を手にとってみると、さらに詳しい情報や実践的なアドバイスが得られます。リンク先のレビュー評価も高く、多くの人がロカボ生活の効果を実感しています。普段の食事を少し見直すだけで、より健康的で活力のある毎日を送れるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
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