「一番強い」≠「一番人気」の理由
ベビーフェース(善玉)のエースである棚橋弘至選手が2位なのに、同じくベビーのトップに君臨するオカダ・カズチカ選手は7位。ヒール(悪役)のタイチ選手よりも下です。
今回は「日本人選手限定」ゆえ、設定上「メキシコ出身」であるエル・デスペラード選手が除外されています。彼もヒールですが、会場におけるファンのリアクションを見るかぎりオカダ選手よりも人気は上でしょう。
もちろんプロレスが闘いである以上、どんなにファンが支持していても強くなければ一番にはなれません。そこは大前提です。
他団体へ移籍した某選手が以前に「棚橋さんに試合で勝ちたいなら彼よりもTシャツが売れる選手になればいい」とインタビューで話していてガッカリしたことがあります。人気商売だからまあそうなんだろうし、スマートな考え方と言えなくもない。でも公の場でそんな発言をするレスラーを応援したいかと訊かれたら・・・
と同時に強いだけでは一番になれないのもプロレス。勝った負けたを全力で競い、でも結果が全てでもない。この禅的な感覚を体得できるようになるとプロレス観戦は本当の意味で面白くなるのです。
いまの新日本のリングでいちばん強い日本人はオカダ選手です。さらに長身でイケメン。スター性も十分。なのになぜ人気は7位なのか?
ひとつ考えられるのは、あまりに強過ぎるということ。昔「美味しんぼ」で「美味過ぎるものは飽きる」というセリフがありました。「強過ぎる」も同じではないでしょうか? 圧倒的に勝ち続け、スランプらしいスランプがない。実績と人気がかくも乖離した原因はその辺りにある気がします。
これは会社の売り出し方の問題かもしれません。ファンからしたら好きな選手にはずっと勝ち続けて欲しい。でも大事な試合で負けたり挫折したりして落ち込み、泥臭く這い上がる姿を見て胸が熱くなるのもたしか。パーフェクトなオカダ選手が曝け出す「ガチの人間味」に期待します。