「損な役回り」を評価されないのなら
衝撃のヒールターンからもうすぐ2年。
ハイレベルで真面目なリーグ戦が続くので、お寿司を食べる合い間の緑茶みたいな位置付けでSHO選手の悪行ファイトを楽しんでいます。いい意味での引き立て役。エンターテインメントには欠かせぬ役割です。
ただ彼の本心はどうなのか?
田口選手との一戦では、相手を騙すためにあえて真っ向勝負を仕掛けました。MMAのファイターみたいに前傾姿勢で構え、力と力を存分にぶつけ合う。普段よりもイキイキしているように映りました。
本当はこういう闘いをやりたいのでは?
以前勤めていた書店で遅番をしていました。面接で人事から「遅番をやりたがる契約社員がいない」と言われたので、店長に「やりますよ」と志願したのです。
閉店後に残って雑誌を出し、退勤するのは夜10時。それは担当の業務だからいい。納得できなかったのは、文具の棚卸しや売り場の棚替えで終電ギリギリまで働いたこと。早番は誰もそんなことしないのです。
誰かがやらなきゃいけないんだ。仕方ない。己に言い聞かせました。
ある日、店長に訊かれました。「このまま遅番でいいんですか?」「店としては助かるけど、○○さんの気持ち的にはどうなんですか?」と。嬉しかったです。そこで初めて「俺、本当はどうしたいのかな」と考えました。
その店を辞めた理由はいくつかあります。いま思うと店長が代わり、損な役回りを評価されなくなったことも大きかった気がします。
いまのSHO選手も明らかに不遇です。献身的な働きぶりに見合ったチャンスをもらえていない。たしかにヒール転向で表現の幅が広がり、意外な魅力も認知された。でもこのまま姑息な小悪党で終わるポテンシャルじゃないのは誰もが承知しています。
そろそろ本心を解放してもいい頃です。リーグ戦のどこかで「宣誓通りのクリーンファイト」を見たい。期待しています。