唯一あるのは「飽きない自信」
「プロレスって何歳になってもやっていいような気がする」
「俺たちはマンガの世界。ゴルゴ13でいいんだよ。ゴルゴ13なんて30年前から年取ってないじゃん」
59歳でプロレス大賞のベストバウトを獲得した武藤選手の金言です。
彼の活躍は間違いなく同年代のファンを励ましたはず。同年代ではない私も勇気をもらいました。何度もひざを手術し、人工関節まで入れた人がチャンピオンになってあれだけの熱い試合をしたのです。人間やってやれないことはないと奮い立ちました。
そもそも私の夢(=本を出すこと)に年齢は関係ありません。
たとえば2013年1月に「abさんご」で芥川賞を獲得した黒田夏子さん。当時75歳でした。あるいは2005年に「信長の棺」で作家デビューした加藤廣(かとう ひろし)さん。これも75歳の快挙です。若竹千佐子さんは63歳で「おらおらでひとりいぐも」を書き、文藝賞を獲ってデビュー。同作は2018年に芥川賞も受賞し、映画化されました。
私にもできるはず。ただし同じようにはできない。実際、何度送っても新人賞は獲れませんでした。ならどうするか。もっと自分にあったやり方があるのでは?
色々考えた挙句、noteで毎週日曜に「ハードボイルド書店員日記」を発表することにして現在に至っています。
あの主人公にはずっと年を取らず、出世もせず、永遠に末端の非正規社員でいて欲しい。それこそゴルゴ13のように。どんな仕事も一緒だと思いますが、書店で働いていると日々発見があります。毎日同じようなことをしているにもかかわらず。「同じようなこと」は「同じ」ではない。ここに創作の芽が潜んでいます。
才能の有無などわからない。唯一あると断言できるのは「飽きない自信」だけです。創作もプロレスと同様、何歳になってもやっていいこと。諦めず、年齢のせいにせず、でも堅苦しく身構えずに楽しく続けていきます。